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退職の切り出し方|いつ・誰に・何と言うか、引き止められたときの答え方

退職の切り出し方|いつ・誰に・何と言うか、引き止められたときの答え方

退職すると決めたのに、上司にどう切り出せばいいか分からない。引き止められたら言い返せる自信がない。何日前に言えば辞められるのか、就業規則と法律のどちらが優先なのかもはっきりしない。切り出すタイミングを先延ばしにしているうちに、転職先の入社日が迫ってくる——この記事は、そうした迷いを順番にほどくためのものです。

この記事で分かることは3つです。法律上の期限と就業規則の期限の関係最初に誰に、どんな言い方で伝えるか引き止められたときの答え方と、切り出した後の段取り。転職の進め方全体は転職プロセス完全ガイドにまとめています。

この記事の結論

  • 期間の定めのない雇用は、民法627条により退職の申し出から2週間で終わります。2020年4月施行の改正で、月給制でも労働者からの申し出は2週間で足ります。
  • ただし実務では、就業規則に書かれた申し出の期限に合わせて切り出すほうが、引き継ぎの時間が取れて揉めません。
  • 最初に伝える相手は直属の上司で、メールより先に口頭で、相談ではなく決定として伝えます。
  • 引き止めには「辞める意思は変わらない」と「残りの期間でできること」をセットで返すと、話が退職日の調整に移ります。
  • 退職日までの有給休暇は、会社が他の日に動かせる余地がないため、残日数で申し出れば取り切る余地が大きくなります。

退職はいつ切り出せばいいのか|法律は2週間、実務は就業規則の期限

退職を切り出す時期は、法律上の最短の期限と、会社の就業規則が決めている期限の2つを見て決めます。法律上は2週間で辞められる場合でも、就業規則の期限に合わせて伝えるほうが、後の段取りが楽になります。

法律の期限は、雇用契約の種類で変わる

退職のルールは、雇用契約に期間の定めがあるかどうかで分かれます。正社員の多くは期間の定めのない雇用、契約社員の多くは期間の定めのある雇用です。

雇用契約の種類 いつ辞められるか 根拠
期間の定めのない雇用(正社員など) 申し出からいつでも。申し出の日から2週間で契約が終わる 民法627条1項
同上・月給制 2020年4月以降は、労働者からの申し出も2週間で足りる 民法627条(2020年施行の改正)
期間の定めのある雇用(契約社員など) 原則として「やむを得ない事由」があるとき 民法628条
期間の定めのある雇用で、契約期間が1年を超えるもの 契約の初日から1年を過ぎれば、いつでも申し出られる(一部の専門職などを除く) 労働基準法137条

民法627条は、期間の定めのない雇用について「いつでも解約の申入れをすることができる」とし、申し入れの日から2週間で雇用が終わると定めています。以前は月給制のように期間で給与を決めている場合、申し出の時期に制約がありましたが、2020年4月に施行された改正で、その制約は使用者からの申し入れだけに残りました。労働者から申し出る場合は、月給制でも2週間で足ります。

期間の定めのある雇用は事情が違います。民法628条は、契約期間の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要だとしています。ただし労働基準法137条により、契約期間が1年を超える契約は、初日から1年を過ぎればいつでも退職を申し出られます。契約社員の人は、まず雇用契約書で契約期間を確かめてください。

実務では、就業規則の期限に合わせる

就業規則で「退職の1か月前までに申し出ること」などと定めている会社があります。法律上は2週間で辞められる場合でも、就業規則の期限に合わせて切り出すほうが揉めません。理由は単純で、引き継ぎと有給休暇の消化に必要な日数が、2週間では足りないことが多いからです。

逆算の順番は、次のとおりです。

  1. 転職先の入社日を決める(内定が出ているなら、その日)
  2. 残っている有給休暇の日数を数える
  3. 引き継ぎに必要な日数を見積もる
  4. 入社日から、有給休暇と引き継ぎの日数をさかのぼった日が、最終出社日と退職を切り出す日の目安になる

この逆算は、転職スケジュール逆算ツールで日付に落とせます。就業規則の申し出期限と有給休暇の日数を入れると、いまから間に合うかどうかまで出ます。

退職は誰に、どう切り出すのか|直属の上司に、口頭で先に

退職を最初に伝える相手は直属の上司です。同僚や人事、上司の上司に先に話すと、上司が人づてに知ることになり、その後の話し合いがこじれやすくなります。

伝える順番と場所

  • 1番目は直属の上司。 人事部門や上司の上司には、上司と話したあとに、上司を通して伝わる形が自然です
  • 口頭で、2人で話せる場所で。 「ご相談したいことがあるので、10分ほどお時間をいただけますか」と先に時間を取ってもらいます。朝礼の直後や、繁忙期の締め日など、上司に余裕がない時間は避けます
  • メールやチャットは、口頭のあとの記録として。 話した内容を「本日お伝えしたとおり」と短く送っておくと、申し出た日が残ります

「相談」ではなく「決定」として伝える

一番多いつまずきは、「辞めようか迷っていて」と相談の形で切り出すことです。相談の形にすると、上司は引き止めるのが仕事だと受け取ります。転職先が決まっている、または辞めると決めているなら、決定として伝えます。

伝える中身は、次の3つで足ります。

  • 退職したいこと(決めたことだと分かる言い方で)
  • 希望する退職日(就業規則の期限を踏まえた日付)
  • 引き継ぎには責任を持って取り組むこと
退職を切り出してから最終出社までの流れ。直属の上司に口頭で伝える、退職日・有給休暇・引き継ぎを決める、貸与物を返して書類を受け取る、の3段階

退職の切り出し方の例文|理由の言い方と言わないほうがいいこと

退職の切り出し方で迷うのは、理由をどこまで話すかです。理由は短く、前向きな言い方で1つに絞り、会社や人への不満は持ち出さないのが基本です。不満を理由にすると、「そこを直すから残ってほしい」という引き止めの材料になります。

そのまま使える言い方

時間を取ってもらったあと、最初の一言はこれで足ります。

「突然で申し訳ありません。一身上の都合により、退職させていただきたいと考えています。〇月〇日付での退職を希望しています。」

理由を聞かれたら、次のように1つに絞って答えます。

「以前から取り組みたいと考えていた〇〇の仕事に挑戦するため、転職することを決めました。すでに次の職場も決まっています。」

「家族の事情で、働き方を見直すことにしました。」

最後に、引き継ぎへの姿勢を添えます。

「残りの期間で、担当している〇〇の引き継ぎ資料をまとめ、後任の方に引き継げるようにします。」

言わないほうがいいこと

  • 会社・上司・同僚への不満。 事実であっても、引き止めの材料になり、残りの期間の関係も悪くなります
  • 転職先の社名や条件の詳細。 聞かれても「次の職場は決まっています」で足ります。条件を話すと、給与の上乗せなどの交渉に話がずれます
  • 「迷っている」「できれば」などの言い方。 決めていないと受け取られます

面接で転職先に退職理由を伝えるときは、言い方が変わります。そちらは次の記事にまとめています。

READ ALSO — キャリア 退職理由の例文集|面接・履歴書で伝え方を変える言い換えとNG例、AI添削の使い方

引き止められたら何と答えるのか

引き止めには、「辞める意思は変わらない」と「残りの期間でできること」をセットで返すのが基本です。意思だけを繰り返すと平行線になり、できることだけを話すと残る余地があると受け取られます。2つを並べると、話が「辞めるかどうか」から「いつ、どう引き継ぐか」に移ります。

よくある引き止めと、答え方

  • 「給与を上げるから残ってほしい」— 「ありがたいお話ですが、条件ではなく、やりたい仕事のために決めたことです」と、理由が条件ではないことを伝える
  • 「後任がいないから、今は困る」— 人員の補充は会社が決めることです。「後任の方が決まるまでに、資料と手順書を用意します」と、できることを具体的に示す
  • 「繁忙期が終わるまで待ってほしい」— 希望する退職日を動かせるかどうかを先に自分で決めておき、動かせる範囲だけを提案する
  • 「退職届は受け取れない」— 受け取りを拒まれても、申し出た日を記録に残す。下の手順を参照

退職届を受け取ってもらえないとき

期間の定めのない雇用では、退職は会社の承諾がなくても、申し出から2週間で成立します(民法627条)。大事なのは「いつ申し出たか」を残しておくことです。

  • 口頭で伝えた日時と相手を、メールで上司に送っておく
  • 退職届を手渡しで受け取ってもらえない場合は、内容証明郵便など、送った日と中身が残る方法で送る

それでも話がこじれたときは、各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署内などにある総合労働相談コーナーに相談できます。退職をはじめとする労働問題を無料・予約不要で受け付けています。

切り出した後に決める4つのこと|退職日・有給休暇・引き継ぎ・書類

退職を切り出して上司が受け止めたら、次の4つを決めます。ここを口頭で済ませず、日付と中身をメールや書面で残すと、退職日の直前で食い違いが起きません。

1. 退職日と最終出社日

退職日(雇用契約が終わる日)と最終出社日(最後に出勤する日)は別の日になることがあります。最終出社日のあとに有給休暇を充てると、退職日はその分だけ後ろになります。転職先の入社日と重ならないように決めます。

2. 有給休暇の消化

年次有給休暇は、労働者が時季を指定して取れる権利です(労働基準法39条)。会社には「事業の正常な運営を妨げる場合」に他の時季に与えることができる権利(時季変更権)がありますが、退職日より後には動かせる日がありません。退職日までの残日数で取りたい日を申し出れば、取り切れる余地は大きくなります。残りの日数は、切り出す前に給与明細や勤怠システムで確かめておきます。

3. 引き継ぎ

引き継ぎ資料には、次の3つを入れると後任が困りません。

  • 担当している業務の一覧と、それぞれの頻度(毎日・毎月・年1回など)
  • 手順と、使っているファイル・システムの置き場所
  • 社外の取引先・連絡先と、進行中の案件の状況

後任が決まっていれば同行や同席で渡し、決まっていなければ上司に資料を渡して、誰が受け取るかを決めてもらいます。

4. 返すもの・受け取るもの

会社から貸与されている物(社員証・パソコン・制服など)は最終出社日までに返します。受け取るものは、源泉徴収票、雇用保険の手続きに使う書類などです。

退職後に請求すれば、会社は使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由について証明書を出す義務があります(労働基準法22条)。未払いの給与や預けていた金品は、請求から7日以内に支払い・返還する義務があります(労働基準法23条)。

退職から入社までの間に空白ができる場合は、健康保険や住民税の手続きも要ります。辞めてから探すか在職中に探すかで迷っている段階なら、先に次の記事を読んでください。

READ ALSO — キャリア 転職は辞めてから探すべきか|在職中との比較と失業保険・貯金・空白期間の目安

まとめ

退職の切り出し方は、次の順番で考えると迷いが減ります。

  • 期限を確かめる。 期間の定めのない雇用は、法律上は申し出から2週間。実務は就業規則の期限に合わせる
  • 逆算する。 入社日から、有給休暇と引き継ぎの日数をさかのぼって、切り出す日を決める
  • 直属の上司に、口頭で、決定として伝える。 理由は短く前向きに1つ。不満は持ち出さない
  • 引き止めには、意思とできることをセットで返す。 申し出た日は記録に残す
  • 退職日・有給休暇・引き継ぎ・書類を、日付つきで決めて残す

ミライ(国家資格キャリアコンサルタント)

切り出すまでが一番重く感じますが、言ってしまえば、話は「辞めるかどうか」から「いつ、どう引き継ぐか」に移ります。迷っている間に転職先の入社日が近づくほうが、選べる手が減ります。まず就業規則の申し出期限と有給休暇の残日数を確かめて、切り出す日をカレンダーに入れるところから始めてください。

参照ソース

制度の記述は、下記の公式ページの記載に基づいています(2026年09月23日時点)。法改正や運用の変更があり得るため、手続きの前にリンク先の最新の記載と、管轄の労働基準監督署・労働局の案内を確認してください。記載の誤りにお気づきの場合は peaksbways@gmail.com までご連絡ください。確認のうえ訂正し、記事に訂正した旨を記載します。

FAQよくある質問

退職は何日前に伝えれば辞められますか?

正社員など期間の定めのない雇用なら、民法627条により申し出から2週間で契約は終わります。2020年4月施行の改正で、月給制でも労働者からの申し出は2週間で足りるようになりました。ただし就業規則に「1か月前まで」などの定めがあれば、実務上はその期限に合わせて伝えるほうが引き継ぎの時間も取れて揉めません。

入社して1年未満や試用期間中でも、2週間で辞められますか?

期間の定めのない雇用であれば、勤続が何年でも、試用期間中でも民法627条のルールは同じです。一方、契約社員など期間の定めのある雇用は、原則として「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。ただし契約期間が1年を超える契約は、初日から1年を過ぎればいつでも退職を申し出られます(労働基準法137条、一部の専門職などを除く)。

有給休暇は退職日までに使い切れますか?最後の給与はいつもらえますか?

年次有給休暇は労働者が時季を指定して取れる権利で、会社が変更できるのは「他の時季に与える」ことができる場合に限られます。退職日より後には動かせる日がないので、退職日までの残日数で申し出れば取り切る余地は大きくなります。最後の給与は通常の支払日に払われますが、退職後に請求すれば会社は7日以内に支払う義務があります(労働基準法23条)。

中小企業で人が足りないから辞めないでほしいと言われたらどうすればいいですか?

人員の補充は会社が決めることで、退職の申し出を取り下げる理由にはなりません。「辞める意思は変わらない」ことをはっきり伝えたうえで、引き継ぎの資料を作る、後任に同行するなど、残りの期間でできることを具体的に示すと話が前に進みます。退職届を受け取ってもらえないときは、内容証明郵便などで申し出た日を残し、各地の総合労働相談コーナーに相談できます。

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