転職後に「前の会社の方がよかった」と後悔する人は少なくありません。この記事では給与・人間関係・仕事内容・労働時間別の後悔理由と、後悔したときの確認手順、続けるか動くかの判断基準、前職に戻る場合の注意点を解説します。
転職の基礎知識や準備に関する記事は転職関連記事一覧でまとめて確認できます。
転職して後悔する人はどれくらいいるのか(公的統計から分かること)
この記事の結論
- 転職の「後悔率」を示す公的統計は確認できませんが、転職理由や転職後の処遇変化の統計から傾向はつかめます。
- 後悔の理由は給与・人間関係・仕事内容・労働時間のいずれかに大きく分かれ、対処法も理由ごとに異なります。
- 後悔してもすぐ辞めるべきかは、原因が自分で変えられるものか、会社の構造的な問題かで判断が変わります。
- 前職に戻れるかは会社の再雇用方針次第で、再転職では短期離職の伝え方が重要になります。
転職して後悔している人がどれくらいいるのか、正確な割合を知りたいと考える方は多いはずです。しかし、厚生労働省が実施する雇用動向調査や転職者実態調査を確認する限り、「転職して後悔したかどうか」を直接尋ねた公的な調査項目は見当たりません。民間企業が独自に実施したアンケートで「後悔した」という割合が紹介される場合がありますが、調査対象や設問の設計が公開されていないことが多く、この記事では出典として採用していません。
一方で、公的統計から間接的に分かることもあります。雇用動向調査では離職者数や離職率、転職者実態調査では転職の理由や転職前後での仕事内容・処遇の変化といった項目が継続的に調べられています。これらの数値は「後悔した割合」そのものではありませんが、転職によって賃金や仕事内容がどう変わったかという実態を知る手がかりにはなります。転職を検討する際や、すでに転職して違和感を感じている場合は、感覚的な「後悔」という言葉だけで判断するのではなく、何が具体的に想定と違っていたのかを言語化することが、次の判断につながると考えられます。
つまり「転職の後悔率は何パーセントか」という問いに公的な数字で答えることはできませんが、「転職理由として何が多いか」「転職後に処遇がどう変わりやすいか」という情報は公的統計から読み取れます。公的データが示すのはあくまで集団としての傾向であり、自分自身の後悔の理由がその傾向に当てはまるかどうかは、個別に確認する必要がある点も押さえておきたいところです。次の章では、実際に後悔の理由としてよく挙げられる項目を、給与・人間関係・仕事内容・労働時間に分けて見ていきます。
転職の後悔で多い理由を給与・人間関係・仕事内容・労働時間別に見る
転職後の後悔は、原因によって取れる対処がまったく異なります。ここでは代表的な4つの理由について、どのような状況で起きやすいか、そしてまず何を検討できるかを整理します。重要なのは、後悔の感覚をそのままにせず、原因を分類したうえで次の一手を考えることです。
給与面での後悔は、提示された条件と実際の支給額が違っていた場合や、転職前に見込んでいた昇給が実現しない場合に起きやすくなります。基本給と手当の割合が想定と違っていたり、年収の提示が「想定年収」として幅のある表現にとどまっていたりすると、入社後に実際の支給額とのギャップに気づくことがあります。人間関係での後悔は、面接で感じた社風と実際の職場の雰囲気にズレがあったときに生じやすく、特定の上司や同僚との関係性が合わないという個別の問題であることもあります。面接で会う人数が限られているため、入社後に初めて関わる人との相性までは事前に把握しきれない点も、この理由が後悔につながりやすい背景にあると考えられます。
仕事内容での後悔は、求人票に書かれていた業務と、実際に任される業務の範囲や難易度が異なっていた場合に起きます。たとえば「企画業務が中心」と案内されていたのに、実際には定型的な事務作業の比率が高かったというケースも、この分類に当てはまります。労働時間での後悔は、残業や休日出勤の実態が想定より多く、プライベートとの両立が難しいと感じるケースが中心です。採用時に提示される「みなし残業時間」や「平均残業時間」が、実際の部署や時期による繁閑差を反映していないことも、ズレが生じる一因になります。
| 後悔の理由 | 起きやすい状況 | まず検討できる対処 |
|---|---|---|
| 給与 | 提示額との差・昇給の見込みが立たない | 評価制度や昇給条件を確認し、改善余地を判断する |
| 人間関係 | 上司や同僚との相性、社風のズレ | 相談窓口の有無を確認し、異動の可能性を探る |
| 仕事内容 | 求人票と実際の業務範囲・難易度のズレ | 業務範囲の変更可否を上司に確認する |
| 労働時間 | 残業・休日出勤が想定より多い | 一時的な状況か、構造的な問題かを見極める |
後悔の理由が複数の要因にまたがっている場合は、最も改善が難しいものから優先的に検討することが判断の近道になります。たとえば給与と人間関係の両方に不満がある場合、給与は制度上動かせない一方で、人間関係は相談や異動で変わる可能性があるため、両者を同じ重さで扱わないことが大切です。入社してすぐに条件そのものが聞いていた内容と違っていたと感じる場合は、ギャップの種類によって確認の進め方が変わるため、該当するケースでは別の記事も参考にしてください。
転職して後悔したと感じたら、まず何を確認するのか
転職して後悔したと感じたとき、感情的な判断で次の行動を決めてしまうと、同じ理由で再び後悔するおそれがあります。まずは落ち着いて、いくつかの項目を順番に確認することが有効と考えられます。
後悔したときの確認順
辞める前に4つの切り分けを順に確認する
-
1.原因は自分で変えられる範囲か
働き方の調整で改善するのか、会社の仕組みの問題かを分ける
-
2.試用期間・評価の節目はいつか
配属や評価の見直しが入る時期までは状況を見る選択肢もある
-
3.社内に相談できる窓口はあるか
上司以外に話せる相手がいるかで客観的な材料が増える
-
4.聞いていた条件と違っていないか
相違が原因なら書面やメールで当初の説明を確認する
最初に確認したいのは、後悔の原因が「自分で変えられる範囲」にあるのか、「会社の構造的な問題」にあるのかという切り分けです。業務の進め方や社内でのコミュニケーションの取り方など、自分の働き方を調整することで改善が見込める場合は、すぐに退職を選ばなくても状況が変わる可能性があります。一方、給与制度や経営方針、組織体制といった会社側の仕組みに起因する問題は、個人の努力だけでは変わりにくいため、より早い段階で動くかどうかを検討する必要があります。この切り分けを曖昧にしたまま結論を急ぐと、本来は改善できたはずの問題で退職を選んでしまったり、逆に構造的な問題を我慢し続けてしまったりする可能性があります。
次に確認したいのは、試用期間や評価のタイミングです。入社直後の数ヶ月は、業務に慣れていないことや、周囲との関係が構築されていないことが原因で違和感を強く感じやすい時期でもあります。そのため、評価や配属の見直しが入る節目までは状況を見るという選択肢も考えられます。あわせて、社内に相談できる窓口があるか、上司以外に話を聞いてもらえる相手がいるかも確認しておくと、客観的な判断材料が得られやすくなります。社内の相談窓口を利用した場合に、実際に配属や業務内容の見直しが行われた実例が社内にあるかどうかも、相談する前に把握しておくと判断の助けになります。
もし後悔の原因が、入社前に聞いていた条件と実際の業務・待遇が異なっていたことにある場合は、条件相違そのものへの対応が必要になるため、転職の入社後ギャップ|聞いていた条件と違うときの確認手順と辞める前の判断で詳しい確認手順を紹介しています。原因の種類を見極めたうえで、該当するケースに合った確認の仕方を選ぶことが、感情的な判断を避ける助けになります。
なお、確認を進める途中で気持ちが揺れるのは自然なことです。確認した内容は日付とともにメモに残しておくと、後から上司や相談窓口に話すときも、再転職の面接で理由を説明するときも、事実と感情を分けて伝えやすくなります。
後悔しても続けるべきか、動くべきかの判断基準
後悔したからといって、必ずしもすぐに辞めることが正解とは限りません。ここでは、続けたほうがよい場合と、動いたほうがよい場合の分かれ目を整理します。
続けることを検討できるのは、原因が時間とともに改善しそうな場合です。業務に慣れていないことによる違和感や、人間関係が構築される前の段階での居心地の悪さは、数ヶ月から半年ほどで変化することがあります。また、評価のタイミングや異動の機会が近い場合は、それを待ってから判断するという選択肢も考えられます。社内に相談できる仕組みがあり、実際に状況が改善した事例が周囲にあるかどうかも、続けるかどうかを判断する材料になります。続ける場合でも、何が改善されれば納得できるのかという基準をあらかじめ決めておくと、ずるずると状況を先延ばしにしてしまうことを避けやすくなります。
一方で、動いたほうがよいと考えられるのは、原因が会社の構造的な問題であり、短期間での改善が見込みにくい場合です。給与制度や労働時間の慣行など、会社の仕組みそのものに起因する問題は、個人の努力だけでは変えられないことが多いため、長期間同じ状況が続くようであれば、再転職を含めた選択肢を検討する時期と考えられます。また、健康面への影響が出ている場合や、ハラスメントに該当するような人間関係の問題がある場合は、改善を待つよりも早めに相談窓口や外部機関への相談を検討したほうがよいケースもあります。
いずれの場合も、判断の軸になるのは「原因が自分や会社側の努力で変わる範囲にあるか」という点です。この軸を持たずに感情だけで判断すると、再転職しても同じ理由で後悔を繰り返す可能性があるため、次に動く前には必ず原因を言語化しておくことが大切と考えられます。続けるか動くかで迷っている段階では、結論を出すこと自体を急がず、上で挙げた確認項目を一つずつ埋めていくことが、後になって納得できる判断につながりやすいと考えられます。
前職に戻る・再転職するときに知っておきたいこと
転職して後悔したとき、前職に戻ることを考える方もいます。ただし、前職への復帰は会社側の制度や方針に左右されるため、一律に「戻れる」「戻れない」と言えるものではありません。一部の企業では、退職者を再び雇用するアルムナイ制度のような仕組みを設けていますが、こうした制度を持たない会社も多く、戻れるかどうかは個別に確認する必要があります。
再転職で気をつけておきたい3点
- 前職への復帰は会社の制度次第で、断られることも珍しくありません
- 短期離職は職務経歴書や面接で理由を聞かれやすくなります
- 同じ理由で後悔を繰り返さないよう、退職前に原因を言語化しておく必要があります
前職に戻りたいと考える場合は、まず元の上司や人事に、在籍していたときの評価や退職理由をどう伝えていたかを振り返ったうえで、復帰の可能性があるかを確認することが現実的な進め方です。制度として確立されていない場合でも、個別の事情によって対応してもらえる可能性はありますが、確実に受け入れてもらえるとは言えないため、前職への復帰だけを前提にせず、再転職も並行して検討しておくことが安全と考えられます。
再転職を選ぶ場合、短期間での離職は職務経歴書や面接で説明を求められやすい点に注意が必要です。在籍期間の長さそのものをどう伝えるかについては、転職回数が多いと不利?何回から多いのか統計と職務経歴書・面接での伝え方で詳しく扱っていますので、短期離職を経ての再転職を考えている場合は参考にしてください。重要なのは、短い期間で離職した理由を隠さず、何が原因で、今回はどう見極めて選ぶかを具体的に説明できるようにしておくことです。前職への復帰と再転職のどちらを選ぶにしても、今回の転職で後悔した原因をそのままにして動くと、同じ理由で後悔を繰り返す可能性がある点は共通しています。
後悔しない転職にするために、応募前に確認すること
転職の後悔を減らすには、動いたあとの対処だけでなく、応募前の確認を丁寧に行うことも欠かせません。求人票や面接で確認できる項目を事前に押さえておくことで、入社後のギャップを小さくできる可能性があります。
求人票を見る際は、給与の内訳(基本給と手当の割合)、想定される残業時間、配属先や業務範囲が具体的に書かれているかを確認することが基本になります。曖昧な表現が多い求人や、業務内容の記載が抽象的な求人は、入社後に想定とのズレが生じやすい傾向があると考えられます。給与や待遇の記載が概算にとどまる場合は、面接や内定後の条件提示の段階で、具体的な金額や条件を改めて確認することが望ましいです。
面接で確認しておきたい質問の例
- 配属予定の部署で、実際にどのような業務を担当することが多いか
- 直近1年ほどで、同じポジションの離職や異動がどの程度あったか
- 評価制度や昇給のタイミングは、どのくらいの頻度で設けられているか
これらの質問は、面接の場で唐突に聞くと印象を損なう場合もあるため、逆質問の機会を使って自然に聞くことが現実的です。逆質問の具体的な例や聞き方については、転職面接の逆質問|評価される例とNG例、職種別の質問とAIで作る方法で紹介していますので、面接準備の段階で確認しておくと安心です。応募前の情報収集を丁寧に行うことは、後悔そのものをゼロにするものではありませんが、入社後に感じるギャップの大きさを小さくする手段になると考えられます。条件提示の内容を書面やメールで残しておくと、入社後に食い違いが生じた際にも、何が当初の説明だったのかを確認しやすくなります。
まとめ|後悔を減らす転職の進め方
転職の後悔には、給与・人間関係・仕事内容・労働時間といった理由があり、それぞれ対処の仕方が異なります。後悔したと感じたときは、まず原因が自分で変えられる範囲にあるのか、会社の構造的な問題にあるのかを切り分けることが、次の判断の起点になります。続けるか動くかは、この切り分けと、改善が見込める時間軸をもとに判断することが現実的です。
前職に戻れるかどうかは会社の方針次第であり、確実に戻れると約束できるものではありません。再転職を選ぶ場合は、短期離職の理由を具体的に説明できるよう準備しておくことが、次の選考を進めるうえで役立ちます。そして何より、後悔を繰り返さないためには、応募前にできる確認を丁寧に行うことが、長い目で見て後悔を減らす近道になると考えられます。
シゴトのホント編集部
転職の後悔は、原因を特定せずに感情だけで次を決めると繰り返しやすくなります。今回の転職で何が想定と違ったのかを一度書き出し、次に動くときの確認項目に変えてから進めることをおすすめします。


