経理の転職では、繁忙期がいつ来るのか、忙しい時期に入社しても大丈夫なのかが気になるところです。繁忙期の時期は決算月によって変わり、入社のタイミング次第で最初の数か月の負荷も変わってきます。本記事では、経理の繁忙期をカレンダーで整理し、決算月による違い、転職・入社時期の選び方、面接で確認すべき質問までを解説します。
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経理の繁忙期はいつ?月次・四半期・年次決算・年末調整のカレンダー
この記事の結論
- 経理の繁忙期は、決算月の翌月から法人税・消費税の申告期限である2か月後までの時期と、年末調整を行う12月から法定調書を提出する翌年1月末までの時期に重なりやすいと考えられます。
- 決算月が3月なら4〜5月、12月なら1〜2月というように、繁忙期の時期は決算月によってずれます。12月決算は年末調整の時期と重なるため、特に負荷が集中しやすい決算月といえます。
- 繁忙期の真っただ中に入社すると引き継ぎを受ける時間が短くなりやすい一方、繁忙期明けの入社は教育に時間を割いてもらいやすい傾向があります。
- 求人票や面接では、決算月・繁忙期中の残業の運用・引き継ぎ体制を確認しておくと、入社後の想定外を減らせます。
経理の業務には、毎月発生する月次決算と、年に数回発生する四半期決算・年次決算、さらに年末から年明けにかけての年末調整という、周期の異なる締め作業が重なっています。このため「経理の繁忙期」は一つの時期だけを指すのではなく、会社の規模や上場の有無によって複数の山が存在すると考えた方が実態に近いといえます。まずは、それぞれの業務がいつ発生しやすいのかを整理します。
月次決算は、毎月の月初から数営業日のあいだに、前月分の試算表や月次報告をまとめる作業です。多くの会社で毎月繰り返されるため、月初は年間を通じて一定の負荷がかかりやすい時期になります。上場企業では、これに加えて四半期ごとの決算短信など、四半期決算に関する開示対応が発生します。
年次決算と法人税・消費税の確定申告は、決算月の翌月から申告期限までが最も負荷の高まりやすい時期です。国税庁の案内によれば、法人税の確定申告は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行う必要があるとされています。消費税の確定申告についても、法人の課税期間終了の日の翌日から2か月以内が原則です。この期限に向けて、決算書の作成・税額の計算・申告書の提出までを一気に進める必要があるため、決算月の翌月からの2か月間は経理にとって年間でもっとも忙しい時期の一つになりやすいと考えられます。
年末調整は、12月に行う所得税の精算業務です。従業員から提出された各種控除の申告書をもとに年間の所得税額を再計算し、源泉徴収票を作成します。さらに、法定調書合計表や給与支払報告書といった書類は翌年1月31日までに提出する必要があるため、12月から1月末にかけても、決算月とは別に繁忙期が発生します。
| 業務 | 主な時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 月次決算 | 毎月月初〜数営業日 | 前月分の試算表・月次報告の作成 |
| 四半期決算 | 四半期末の翌月(上場企業中心) | 決算短信など四半期ごとの開示対応 |
| 年次決算・申告 | 決算月の翌月〜申告期限(原則2か月以内) | 決算書作成、法人税・消費税の確定申告 |
| 年末調整 | 12月〜翌年1月末 | 源泉徴収票の作成、法定調書・給与支払報告書の提出 |
このように、経理の繁忙期は「決算月に連動する山」と「12月〜1月の年末調整の山」という、少なくとも2種類の波が年間に存在します。決算月が12月の会社では、この2つの山が近い時期に重なるため、他の決算月の会社よりも負荷が集中しやすい点は押さえておきたいところです。
会社の規模によっても、繁忙期の感じ方は変わってきます。従業員数が少なく経理担当者が一人〜数名という会社では、月次決算から年次決算、年末調整までを少人数で担うことになりやすく、繁忙期の負荷が特定の担当者に集中しやすい点も想定しておきたいところです。反対に、経理部門の人数が多い会社では業務を分担しやすく、繁忙期の負荷が分散しやすい傾向があると考えられます。
決算月が違うと繁忙期はどうずれるのか(3月・12月・9月決算の比較)
日本企業の多くは3月を決算月としていますが、外資系企業や一部の業界では12月決算や9月決算を採用している会社も少なくありません。決算月が違えば、前述の年次決算・申告に伴う繁忙期の時期もそのままずれることになります。転職先を検討するときは、求人票や企業情報で決算月を確認し、それがいつごろの繁忙期につながるのかを想像しておくと、入社後のイメージが具体的になります。
3月決算の会社では、4月から申告期限である5月末ごろにかけてが決算・申告の繁忙期になります。年末調整の時期(12月〜1月)とは重ならないため、年間で見ると繁忙期の山が分散しやすいという特徴があります。12月決算の会社では、翌年2月末ごろまでが決算・申告の繁忙期にあたります。この時期は年末調整の後始末(1月末の法定調書提出など)が明けて間もないタイミングと重なりやすく、他の決算月の会社に比べて繁忙期が連続しやすい傾向があると考えられます。9月決算の会社では、10月から申告期限である11月末ごろにかけてが繁忙期になります。年末調整とは時期がずれているため、こちらも比較的分散しやすい決算月といえます。
| 決算月 | 申告期限の目安 | 年末調整との重なり |
|---|---|---|
| 3月決算 | 5月末ごろ | 重ならない(分散しやすい) |
| 12月決算 | 翌年2月末ごろ | 年末調整の後始末と時期が近く、繁忙期が連続しやすい |
| 9月決算 | 11月末ごろ | 重ならない(分散しやすい) |
決算月による違い
繁忙期は決算月の翌月から2か月+年末調整の2つの山
3月決算
4月〜5月末ごろが決算・申告
- 年末調整(12月〜1月)と重ならない
- 繁忙期の山が年に分かれやすい
12月決算
1月〜翌年2月末ごろが決算・申告
- 年末調整の後始末と時期が近い
- 繁忙期が連続しやすい
決算月は求人票や企業の公開情報で確認できることが多く、面接でも質問しやすい項目です。応募を検討している会社の決算月を把握しておくと、自分の入社がどの繁忙期の前後に当たるのかを逆算しやすくなります。なお、上場企業では決算月に加えて四半期ごとの決算短信への対応もあるため、非上場企業に比べて年間を通じた繁忙の波がやや多くなる傾向があると考えられます。このほか、6月や8月を決算月とする企業もあり、親会社の決算期や業界慣行に合わせて決算月を設定している会社も見られます。応募先の決算月が3月・12月・9月のいずれにも当たらない場合も、同じ考え方で「決算月の翌月から2か月間」を繁忙期の目安として確認しておくとよいでしょう。
繁忙期に転職すると何が起きるのか|入社時期ごとの利点と注意点
経理の繁忙期を踏まえると、転職・入社のタイミングは大きく「繁忙期の最中に入社する」「繁忙期明けに入社する」「繁忙期の少し前に入社する」の3パターンに整理できます。それぞれにメリットと注意点があり、どれが正解というよりは、自分の経験値や転職先の体制によって向き不向きがあると考えた方が実態に近いといえます。
繁忙期の最中に入社する場合、現場は即戦力を求めていることが多く、選考がスピーディーに進みやすい面があります。一方で、引き継ぎやOJTに十分な時間を割いてもらいにくく、経験の浅い方にとっては負荷の高いスタートになりやすい点は注意が必要です。経験者であっても、前職とはシステムや仕訳のルールが異なるため、慣れない状態で繁忙期の業務に入ることになる点は想定しておく必要があります。
繁忙期が明けた直後に入社する場合は、現場にも比較的余裕があり、引き継ぎや研修に時間を割いてもらいやすい傾向があります。未経験者や経理の実務経験が浅い方にとっては、基礎を教わりながら少しずつ業務を覚えられるため、無理のないスタートを切りやすい時期といえます。ただし、入社してから数か月後には次の繁忙期が巡ってくるため、ある程度の期間で実務を覚えておく必要がある点は意識しておきたいところです。
繁忙期の少し前に入社する場合は、本番の繁忙期が来るまでに数週間から1〜2か月程度の準備期間を確保できる可能性があります。この期間に業務フローやシステムの使い方を覚えておければ、繁忙期そのものへの不安は軽減しやすいと考えられます。一方で、求人が出るタイミングと自分の転職活動の進み具合が必ずしも一致するとは限らないため、このパターンを狙って動くには、後述するように転職活動の開始時期を逆算しておく必要があります。
3つのパターンの利点と注意点を整理すると、次のようになります。
| 入社タイミング | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 繁忙期の最中 | 選考がスピーディーに進みやすい | 引き継ぎ・OJTの時間を確保しにくい |
| 繁忙期明け | 教育・引き継ぎに時間を割いてもらいやすい | 入社後数か月で次の繁忙期が巡ってくる |
| 繁忙期の少し前 | 本番までに準備期間を確保できる可能性がある | 求人のタイミングと転職活動の進み具合が一致しにくい |
どのタイミングが向いているかは、経理としての経験値と転職先の教育体制の両方から判断する必要があります。未経験や経験の浅い方は繁忙期明け、経験者で即戦力として評価されたい方は繁忙期の最中も選択肢になり得ると考えられます。
経理への転職は何月に動くのが現実的か|応募から入社までの逆算
繁忙期を避けたい、あるいは繁忙期の少し前に入社したいと考える場合、重要になるのは「いつ転職活動を始めるか」という逆算の視点です。応募してから内定、内定から入社までには一定の期間がかかるため、希望する入社時期から逆算してスケジュールを組む必要があります。
厚生労働省の転職者実態調査(令和2年)では、転職活動にかかった期間についての集計が示されており、転職活動の期間は人によって幅があるものの、短期間で決着する人から数か月単位で活動する人まで分布していることがわかります。経理のように専門性のある職種では、書類選考や面接の回数、前職の引き継ぎ期間なども加わるため、応募を決めてから実際に入社するまでには、ある程度の準備期間を見込んでおいた方が現実的です。
入社時期から逆算するときの考え方
- 希望する入社月を先に決め、そこから選考にかかる期間と、現職の退職手続き・引き継ぎにかかる期間をさかのぼって考えます。
- 繁忙期明けの入社を狙うなら、繁忙期が終わるタイミングより数か月前から準備を始めておくと、選考の進み具合に余裕を持たせやすくなります。
- 繁忙期の真っただ中の求人は、人手不足を補うための募集であることも考えられるため、入社後のフォロー体制を面接で確認しておくと安心です。
たとえば、3月決算の会社で繁忙期明けの入社を目指す場合、繁忙期の山が6月ごろまでに落ち着くと想定すると、選考期間と現職での退職予告・引き継ぎ期間を考慮して、その数か月前には転職活動を始めておく必要があります。応募先ごとに決算月が異なる点を踏まえると、希望する入社月を先に固定し、応募先の決算月に合わせて活動開始時期を微調整していく進め方が現実的といえます。
なお、「何月に求人が増えるか」といった求人動向そのものは、会社や業界ごとの事情によって差が大きく、一概には言えない部分です。求人の多寡を推測するよりも、自分が希望する入社時期から逆算してスケジュールを組み、応募先の決算月や繁忙期の時期を個別に確認していく進め方の方が、実態に即した準備になると考えられます。
面接と求人票で経理の繁忙期の負荷を見抜く質問
繁忙期の負荷は、求人票の文言だけでは判断しづらい部分があります。面接の場で具体的に質問し、回答の内容から入社後の実態を推測することが、ミスマッチを減らす現実的な方法といえます。
まず確認しておきたいのは決算月です。決算月がわかれば、前述のカレンダーに当てはめて、自分の入社がどの繁忙期の前後に当たるのかをおおよそ想定できます。あわせて、繁忙期中の残業の運用についても質問しておくとよいでしょう。残業時間そのものの統計的な目安は会社によって大きく異なるため、ここでは数値を推測するよりも、繁忙期中の勤務時間の管理方法や、繁忙期明けの代休・休暇の取り扱いなど、運用のルールを具体的に尋ねる方が実態をつかみやすくなります。
次に、引き継ぎ体制についても確認しておきたい項目です。前任者からの引き継ぎ期間がどの程度確保されているか、繁忙期に入る前に業務フローのマニュアルや過去の資料が整備されているかを尋ねると、現場の受け入れ体制がある程度見えてきます。あわせて、繁忙期の業務が特定の担当者に集中しているのか、チームで分担する仕組みがあるのかも確認しておくと、入社後に自分がどのような役割を期待されるのかをイメージしやすくなります。
面接で確認しておきたい4つの質問
- 貴社の決算月はいつですか。繁忙期はどの時期に当たりますか。
- 繁忙期中の勤務時間や休暇の取り扱いは、どのように運用されていますか。
- 入社後、前任者からの引き継ぎ期間はどの程度確保されますか。
- 繁忙期の業務は特定の担当者に集中しますか、それともチームで分担しますか。
これらの質問への回答が具体的であるかどうかも、見抜くポイントの一つです。「繁忙期中もチームで業務を調整している」「引き継ぎ資料は毎年更新している」といった具体的な回答が返ってくる場合は、繁忙期への備えが組織として仕組み化されている可能性が高いと考えられます。反対に、質問の意図がうまく伝わらない、回答が曖昧で具体性を欠くといった場合は、繁忙期の対応が個人の努力に依存している職場である可能性も想定しておいた方がよいでしょう。
繁忙期の負荷が比較的軽い職場に共通するのは、特定の個人に業務が偏らず、複数人で分担できる体制が整っていることや、決算・申告に向けた業務フローがあらかじめマニュアル化されていることだと考えられます。逆に、担当者一人に決算業務が集中している、引き継ぎ資料がほとんど整備されていないといった回答が返ってきた場合は、繁忙期の負荷が特定の人に偏りやすい職場である可能性を想定しておいた方がよいでしょう。経理の仕事内容そのものの全体像は、経理の仕事内容でも確認できます。
まとめ|経理の繁忙期を踏まえた転職タイミングの選び方
経理の繁忙期は、決算月の翌月から申告期限までの時期と、12月から翌年1月末までの年末調整の時期という、性質の異なる2つの山から成り立っています。決算月が3月・12月・9月のいずれであるかによって、年次決算に伴う繁忙期の時期は変わり、特に12月決算の会社は年末調整の後始末と時期が近く、繁忙期が連続しやすい傾向があると考えられます。
転職・入社のタイミングについては、繁忙期の最中・明け・少し前のいずれにも利点と注意点があり、一律にどれが正解とは言い切れません。未経験者や経験の浅い方は、繁忙期明けの入社の方が教育に時間を割いてもらいやすい一方、経験者であれば繁忙期の最中に入社して即戦力として動くという選択肢も現実的です。いずれの場合も、応募先の決算月と繁忙期の時期を確認したうえで、希望する入社時期から逆算して転職活動のスケジュールを組むことが、無理のない転職につながります。
シゴトのホント編集部
決算月や繁忙期の時期は、求人票だけでは分からないことが多い情報です。面接で遠慮なく質問し、引き継ぎ体制や繁忙期中の運用まで具体的に確認したうえで、ご自身にとって無理のない入社時期を選んでください。
参照ソース
- 国税庁 — 法人税・消費税の確定申告期限(事業年度・課税期間終了の日の翌日から2か月以内が原則)に関する案内
- 厚生労働省 転職者実態調査 — 転職活動にかかった期間などの調査結果
- 厚生労働省 雇用動向調査 — 転職入職の動向に関する調査結果
- 金融庁 — 上場企業の決算短信など、四半期ごとの開示に関する案内


