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電気工事士が独立すると年収はいくらか。売上と手取りの違い、開業の要件と必要な資格

電気工事士が独立すると年収はいくらか。売上と手取りの違い、開業の要件と必要な資格

電気工事士として独立すれば年収が上がるのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。独立後の年収は売上の額ではなく、そこから費用を引いた手取りで考える必要があります。この記事では、独立に必要な資格と登録、独立後にかかる費用、独立に向いている人の特徴を整理します。電気工事士の仕事内容や資格の全体像は電気工事士の仕事・資格まとめもあわせて参考にしてください。

電気工事士が独立すると年収はいくらになるのか(売上と手取りの違い)

この記事の結論

  • 独立後の年収は「売上」であり、そこから材料費や車両費、保険料、税金を引いた「手取り」は別物です。
  • 電気工事業を営むには登録電気工事業者としての登録が必要で、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。
  • 第一種電気工事士の免状があればそのまま主任電気工事士になれますが、第二種電気工事士は免状取得後3年以上の実務経験が必要です。
  • 独立後は労災保険の対象外になるため、一人親方として労災保険の特別加入を検討する必要があります。
  • 独立者の年収そのものを示す公的統計は確認できていないため、本記事では売上と手取りの考え方を中心に説明します。

電気工事士が独立すると年収がどう変わるのかを考えるときに、まず分けて考えたいのは「売上」と「手取り」の違いです。会社員であれば勤務先から支払われる給与がそのまま収入になりますが、個人事業主として独立すると、元請や取引先から支払われる請負金額の総額が売上になります。そこから材料費や外注費、車両の維持費、保険料、税金などを差し引いた残りが、実際に自分の生活費に使える手取りです。売上の数字だけを見て会社員より稼げると判断するのは早計で、経費の分だけ手取りは小さくなる点を踏まえておく必要があります。

独立者の年収そのものを示す公的な統計は確認できていません。独立後にどの程度の年収になるかは、仕事の受注量や単価、経費の管理の仕方によって個人差が大きく、一律の相場を示すことは難しいというのが実態に近いと考えられます。一方で、会社員として電気工事の仕事に従事する人の賃金については、厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査で職種別の賃金が公表されています。独立を検討する際は、この会社員の賃金水準を一つの比較の土台としつつ、独立後に見込める売上を自分の仕事の状況に当てはめて考えるのが現実的でしょう。

独立後の売上を左右する大きな要素は、元請から直接仕事を受けられるか、それとも別の業者を経由して仕事を受けるかという仕事の取り方です。元請から直接受注できれば、間に入る業者への中間マージンが発生しないため、同じ工事でも売上が大きくなりやすいと考えられます。反対に、下請けのさらに下請けという立場で仕事を受ける場合は、単価が抑えられやすく、売上を伸ばしにくい傾向があります。独立前にどのような形で仕事を受けられるかを見通しておくことが、年収を考えるうえでの出発点になるでしょう。

売上が同じでも、手取りは季節や受注状況によって変動します。電気工事の仕事は新築やリフォームの工程に組み込まれることが多く、繁忙期と閑散期の差が出やすい業種です。独立すると、閑散期の売上の落ち込みをそのまま自分で受け止める必要があるため、年間を通した収支の見通しを持っておくことが欠かせません。

電気工事士は独立すると年収1,000万円になるのか

「電気工事士 独立 年収」で検索すると、年収1,000万円といった具体的な数字が気になる方もいるでしょう。しかし、独立後の年収を特定の金額で示す公的な統計は確認できておらず、ある金額を保証できる根拠はありません。年収は元請から直接受注できるか、工事の単価、受注件数、そして経費をどれだけ抑えられるかによって大きく変わります。材料費や外注費の比率が高い工事を多く受けていれば同じ売上でも手取りは小さくなり、逆に単価の高い工事を元請から継続的に受注できれば、会社員の賃金水準を上回る手取りを確保できる可能性もあります。特定の年収額を目標にするよりも、自分が確保できる売上と経費の見通しを具体的に立てることのほうが、独立後の生活を考えるうえでは重要です。

会社員と独立の違い

独立すると費用と保険を自分で負担する

会社員

給与がそのまま収入

  • 道具・車両は勤務先が用意することが多い
  • 健康保険・厚生年金は勤務先が一部負担
  • 労災保険の対象になる

独立(個人事業主)

売上から費用を引いた残りが手取り

  • 道具・車両・材料費を自分で負担
  • 国民健康保険・国民年金を全額自己負担
  • 労災保険は特別加入を検討する
出典: 電気工事業の業務の適正化に関する法律、厚生労働省「労災保険 特別加入制度」

独立に必要な資格と登録とは(第二種・第一種、電気工事業の登録、主任電気工事士)

電気工事士として独立するために最初に確認したいのは、資格そのものと、電気工事業を営むための登録が別の手続きである点です。第二種電気工事士は一般住宅や小規模店舗などの一般用電気工作物の工事に従事できる資格で、第一種電気工事士はこれに加えて、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物の工事にも従事できます。どちらの資格を持っているかによって、独立後に請け負える工事の範囲が変わってくる点は押さえておく必要があります。

資格を持っているだけでは、電気工事業を事業として営むことはできません。電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づき、電気工事業を営む場合は都道府県知事、または複数の都道府県に営業所を持つ場合は経済産業大臣への登録または通知が必要です。この登録を行った事業者を登録電気工事業者と呼びます。登録の際には、営業所ごとに専任の主任電気工事士を配置することが求められ、この主任電気工事士の要件を満たせるかどうかが、独立できるかどうかの実質的な分かれ目になります。

主任電気工事士になるための要件は、第一種電気工事士と第二種電気工事士で異なります。第一種電気工事士の免状を持っていれば、免状取得後すぐに主任電気工事士になることができます。これに対して第二種電気工事士の免状だけでは、免状取得後3年以上の実務経験を積んでいることが条件になります。つまり、第二種電気工事士だけで独立を考える場合は、実務経験の年数を満たすまで待つ必要があるということです。

項目 第二種電気工事士 第一種電気工事士
工事できる範囲 一般用電気工作物(住宅など) 一般用電気工作物+最大電力500kW未満の自家用電気工作物
主任電気工事士になれる条件 免状取得後3年以上の実務経験が必要 免状取得後すぐに主任電気工事士になれる
独立して請け負いやすい工事 一般住宅などの小規模工事が中心 中小規模の店舗・工場なども含めて幅が広い

この表からも分かるように、独立して請け負える工事の幅を広げたいのであれば、第一種電気工事士の免状を取得しておくことが現実的な選択肢になります。第二種電気工事士のまま独立する場合は、実務経験を積みながら、いずれ第一種を取得する計画を立てておくと、独立後に請け負える仕事の範囲が狭くなりにくいでしょう。

第二種電気工事士だけで独立できるのか

第二種電気工事士の免状だけでも、電気工事業の登録を行えば電気工事業を営むこと自体は可能です。ただし、営業所ごとに専任の主任電気工事士を置く必要があり、第二種電気工事士の免状だけでは免状取得後すぐに主任電気工事士になることはできません。主任電気工事士になるには、免状取得後3年以上の実務経験を積むか、第一種電気工事士の免状を取得する必要があります。自分自身がすぐに主任電気工事士になれないという点で、第二種電気工事士だけでの独立は、資格の面でも準備期間が必要になると理解しておくとよいでしょう。

独立後の手取りを左右する費用(道具・車両・保険・労災保険の特別加入)

独立後の手取りを考えるうえで欠かせないのが、会社員時代には意識しなかった費用の存在です。まず道具や車両は、会社員であれば勤務先が用意してくれることが多いものですが、独立すると自分で用意し、維持する必要があります。電動工具や測定器、軽トラックやバンなどの車両、資材を運ぶための装備は、独立当初にまとまった支出になりやすく、その後も維持費やガソリン代、車検費用などが継続的にかかります。

社会保険の扱いも、会社員と個人事業主では大きく異なります。会社員であれば健康保険や厚生年金に加入し、保険料の一部を勤務先が負担してくれますが、独立して個人事業主になると、原則として国民健康保険と国民年金に自分で加入し、全額を自分で負担することになります。保険料の負担感は会社員時代より増すと考えられるため、独立前に年間でどの程度の保険料がかかるかを把握しておくことが大切です。

さらに重要なのが、労災保険の扱いです。会社員であれば労働者として労災保険の対象になりますが、個人事業主として独立すると、労働者ではなくなるため労災保険の対象外になります。電気工事の現場は高所作業や感電のリスクを伴うことがあり、万一のけがに備える必要性は会社員時代より高まるとも言えます。このため、建設業の一人親方向けに設けられている労災保険の特別加入制度への加入を検討する事業者が多く、特別加入団体を通じて加入する仕組みになっています。特別加入には保険料がかかるため、これも独立後の固定費の一つとして見込んでおく必要があります。

これらの費用に加えて、第三者への損害に備える損害賠償保険や、確定申告にかかる税理士費用、商工会や組合の会費なども、事業を続けるうえで発生しやすい費用です。売上からこれらの費用をすべて引いた額が手取りであり、売上の大きさだけで生活の見通しを立てるのは危険だということは、独立前にあらかじめ理解しておきたいポイントです。道具・車両、社会保険、労災保険の特別加入、損害賠償保険、税理士費用といった項目を独立前に一つずつ書き出し、年間でどの程度の固定費になるかを見積もっておくと、売上から手取りを逆算しやすくなります。

会社員のまま稼ぐか、独立で稼ぐか(第一種電気工事士・資格手当との比較)

電気工事士として年収を上げる方法は、独立だけではありません。会社員として勤務を続けながら、第一種電気工事士の資格を取得し、資格手当の上乗せや、より高度な工事を担当できる立場への異動を目指す道もあります。会社員のままであれば、社会保険や労災保険は勤務先の制度に含まれており、独立後のような保険料の全額自己負担や、仕事が途切れたときの収入減のリスクを抱えずに済むという違いがあります。

一方で、独立すれば自分の裁量で仕事の単価や受注量を決められるようになり、会社員の給与体系では届きにくい収入を目指せる可能性があります。ただし、その可能性は独立後の売上がどの程度確保できるかに左右され、仕事が安定して取れるかどうかは、独立前の人脈や元請との関係によって大きく変わります。会社員として積み上げてきた資格手当や昇給の仕組みと、独立後の不確実な売上のどちらを選ぶかは、本人の仕事の取り方の見通しや、家庭の事情によっても判断が変わってくるでしょう。

これまでの内容を整理すると、会社員と独立では、収入の決まり方そのものが異なります。

比較の視点 会社員のまま第一種を取得 独立する
収入の決まり方 給与・資格手当として支給される 元請からの請負金額(売上)から経費を引いた手取り
社会保険・労災保険 勤務先の制度に加入、保険料は会社と分担 国民健康保険・国民年金に自分で加入、労災は特別加入を自分で検討
収入の変動 比較的安定し見通しを立てやすい 受注量や単価、繁忙期・閑散期の影響を受けやすい
必要な準備 資格取得と実務経験の積み上げ 資格・登録のほか元請との関係構築、資金繰りの準備

第一種電気工事士の資格手当や、資格の有無による年収差については、第一種電気工事士の年収はいくらで詳しく取り上げています。また、電気工事士全体の年収相場については電気工事士の年収はどれくらいでも整理していますので、独立と会社員のどちらを選ぶか判断する際の参考にしてください。

会社員のまま第一種電気工事士を取得する道は、独立に比べて収入の変動が小さく、見通しを立てやすいという利点があります。独立は収入の上限を自分で広げられる可能性がある一方、下限についても自分で支える必要があるという点が、会社員との最も大きな違いだと言えるでしょう。

電気工事士の独立に向いている人はどんな人か(仕事の取り方と元請との関係)

独立後の年収を左右する最大の要素は、資格そのものよりも、仕事をどのように取ってくるかという点にあると考えられます。独立前から元請や工務店、ハウスメーカーなどと直接のつながりを持ち、継続的に仕事を依頼してもらえる関係を築けている人は、独立後も売上の見通しを立てやすい立場にあります。反対に、独立のタイミングで初めて仕事を探し始める場合は、軌道に乗るまでの期間、売上が不安定になりやすいと考えられます。

資金面の準備も、独立に向いているかどうかを分ける要素です。工事の多くは、材料費や外注費を先に立て替え、工事完了後にまとめて請求する形になるため、代金が入金されるまでの期間を支えられる手元資金が必要になります。独立直後は仕事が少なく、入金までの期間も読みにくいことが多いため、生活費と事業資金の両方を一定期間支えられるだけの貯蓄を用意しておくことが望ましいでしょう。

また、見積もりや請求書の作成、確定申告といった事務作業も、独立すると自分で担うことになります。現場の技術力に加えて、こうした事業運営に関わる作業を苦にせず続けられるかどうかも、独立後の働き方に向いているかを判断する材料になります。これらを踏まえると、独立に向いているのは、現場の技術だけでなく、仕事の取り方や事業運営の全体を見通して準備できる人だと言えるでしょう。

独立前にどれくらいの実務経験が必要なのか

主任電気工事士になるための実務経験年数は法律で定められており、前述のとおり第二種電気工事士は免状取得後3年以上の実務経験が必要です。一方で、独立までに必要な一般的な修行年数を示す公的データは確認できていません。法令上の要件を満たすことに加えて、元請との関係を築き、見積もりや請求といった仕事の取り方を身につける期間も必要になると考えられるため、法令上の年数だけを目安にせず、実際の準備状況に合わせて独立のタイミングを見極めることが実態に近いといえるでしょう。

シゴトのホント編集部

独立は年収の上限を広げられる可能性がある一方、売上が途切れたときのリスクも自分で負うことになります。資格の要件を満たすことだけでなく、元請との関係や資金の準備ができているかを、独立前に一つずつ確認しておくことをおすすめします。

まとめ|電気工事士が独立して年収を上げるために必要な準備

電気工事士が独立すると年収がどう変わるかは、売上と手取りを分けて考えることで見えてきます。売上は元請から支払われる請負金額の総額であり、そこから材料費や車両費、社会保険や労災保険の特別加入にかかる費用、税金などを差し引いた残りが、実際に自分の生活費として使える手取りです。独立者の年収そのものを示す公的な統計は確認できていないため、会社員時代の賃金水準を比較の土台にしながら、自分の仕事の状況に当てはめて考える姿勢が大切です。

独立するためには、資格と登録の両方を満たす必要があります。第一種電気工事士であれば免状取得後すぐに主任電気工事士になれますが、第二種電気工事士の場合は免状取得後3年以上の実務経験が条件になります。加えて、電気工事業を営むための登録と、営業所ごとの主任電気工事士の配置という手続きも欠かせません。

独立に向いているかどうかは、資格の有無だけでなく、元請との関係や仕事の取り方、独立直後の資金繰りを支えられるかによって大きく変わります。会社員のまま第一種電気工事士を取得して資格手当を積み上げる道と、独立して自分の裁量で売上を伸ばす道、どちらを選ぶかは、本人の見通しと準備の度合いによって判断する必要があるでしょう。

参照ソース

  • 経済産業省 — 登録電気工事業者制度、主任電気工事士の配置など電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく制度について
  • e-Gov法令検索 — 電気工事士法、電気工事業の業務の適正化に関する法律の条文(工事範囲、主任電気工事士の要件)
  • 厚生労働省 — 労災保険の特別加入制度(一人親方等)、賃金構造基本統計調査について
  • 一般財団法人電気技術者試験センター — 第二種・第一種電気工事士試験の制度、受験資格、試験結果の公表について
  • 政府統計の総合窓口 e-Stat — 賃金構造基本統計調査(電気工事従事者を含む職種別の賃金データ)

FAQよくある質問

電気工事士は独立すると年収1,000万円になりますか?

独立後の年収を示す公的な統計は確認できておらず、断定はできません。売上から材料費や車両維持費、社会保険や労災保険の費用などを引いた残りが手取りになるため、売上の額だけで年収を判断しないことが大切です。

第二種電気工事士だけで独立できますか?

第二種電気工事士は一般用電気工作物の工事に従事できますが、電気工事業を営むには登録が必要で、営業所ごとに主任電気工事士を置かなければなりません。第二種の免状だけでは主任電気工事士になれず、免状取得後3年以上の実務経験を積むか、第一種電気工事士の免状を取得する必要があります。

独立前にどれくらいの実務経験が必要ですか?

主任電気工事士になるための実務経験年数は法律で定められていますが、独立までに必要な一般的な修行年数を示す公的データは確認できていません。法令上の要件に加え、元請との関係や仕事の取り方を身につける期間も考慮して準備するのが実態に近いと考えられます。

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