電気工事士の求人に応募したいが、志望動機に何を書けばいいか分からない。未経験で「興味があります」だけでは弱い気がする。第二種は取ったが、どう志望動機につなげればいいのか。経験者なら前職の不満をどう言い換えるのか。この記事はそうした悩みに、そのまま使える形で答えます。
先に結論です。電気工事士の志望動機で採用側が見ているのは「続きそうか」「安全に仕事を覚えられそうか」「うちを選んだ理由があるか」の3点です。 この3点に応える組み立て方、3パターンの例文、落ちやすいNG例、生成AIで添削するプロンプトを順に解説します。
電気工事士全般の悩みは電気工事士完全ガイドにまとめています。
電気工事士の志望動機で採用側が見ている3点
電気工事士の採用で志望動機が問われる理由は、「電気の知識があるか」を測るためではありません。採用側が知りたいのは、見習い期間を乗り越えて続くか、安全に関わる手順を守れるか、数ある電気工事会社の中でなぜうちなのか、の3点です。 志望動機はこの3つに答える文章として組み立てると、未経験でも経験者でも評価される形になります。
1. 続きそうか
電気工事の仕事は、見習い期間に材料運びや養生、配線の下準備といった地味な作業が続きます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)でも、電気工事士の仕事は屋内配線・受変電設備・照明や動力設備の設置など多岐にわたり、現場では複数の作業を順に覚えていくことが示されています。採用側は「最初の1年を我慢できるか」を見ています。志望動機に「なぜ電気工事でなければならないのか」の理由が書かれていると、続く根拠として読まれます。
2. 安全に仕事を覚えられそうか
電気工事は感電・墜落・火災といったリスクと隣り合わせで、電気工事士法は工事の欠陥による災害を防ぐために資格制度を定めています。採用側は「手順を守るか」「分からないことを聞けるか」を重視しており、志望動機の中で前職の経験を「手順を守った行動」として書けると、この点の評価が上がります。
3. なぜうちなのか
電気工事会社は住宅中心、ビル・工場中心、公共施設中心と、扱う工事の種類がまったく違います。「電気工事士になりたい」だけでは、どの会社にも出せる文章です。応募先の施工実績を見て、どの種類の工事に関わりたいかを書くことが、志望動機の差になります。 会社のサイトに施工事例が載っていれば、そこから1つ選んで触れるだけで、読み手の印象は変わります。
人手不足でも志望動機が問われる理由
電気工事の職業は、厚生労働省の一般職業紹介状況(職業別)でも有効求人倍率が全職業の平均を大きく上回る状態が続いており、応募すれば採用されやすい職種であることは確かです。それでも志望動機が問われるのは、採用してもすぐ辞められると、教育に使った時間と現場の人員計画が無駄になるからです。小規模な電気工事会社ほど一人の離職の影響が大きく、「なぜ電気工事なのか」を確かめずに採用することはありません。人手不足だから志望動機は適当でよい、とはならない点を押さえておいてください。
電気工事士の志望動機の書き方 — 4つの要素で組み立てる
志望動機は「電気工事を選んだ理由」「自分の経験のうち活きる部分」「その会社を選んだ理由」「入社後の計画」の4要素を、この順番で並べると読みやすくなります。文字数の目安は履歴書の欄なら200〜300字、職務経歴書や面接なら400字前後で、4要素にそれぞれ1〜2文ずつ割り当てます。
要素1: 電気工事を選んだ理由
「手に職をつけたい」「安定していそう」は、他の技術職にも当てはまるため弱くなります。電気工事ならではの理由に一段掘り下げてください。たとえば、生活や事業のインフラを直接支える仕事であること、第二種・第一種という資格で業務範囲が法律で決まっており、努力が待遇に反映されやすいこと、現場ごとに完成が目に見えることなどです。自分の体験と結びつける(停電時の復旧作業を見た、家のリフォームで配線工事に立ち会った等)と、借り物でない文章になります。
要素2: 自分の経験のうち活きる部分
未経験の場合は「続ける力」と「手順を守る姿勢」を、前職の具体的な行動で示します。飲食店で開店準備のチェックリストを毎日守った、物流で荷物の積み方のルールを徹底した、といった話は電気工事の「手順を守る」姿勢に翻訳できます。経験者の場合は、担当した工事の種類(住宅・店舗・ビル・工場)、担当範囲(配線・器具付け・受変電・施工管理補助)、持っている資格を具体的に書きます。
要素3: その会社を選んだ理由
施工実績、工事の種類、資格取得支援、教育体制のうち、自分に関係のあるものを1つ選んで書きます。「地域密着」「アットホーム」といった抽象的な言葉は避け、「貴社の施工事例にある〇〇の改修工事のように、ビルの受変電設備を扱う現場で経験を積みたい」のように、事実を1つ挙げてください。
要素4: 入社後の計画
未経験なら第二種電気工事士の受験時期、第二種取得済みなら第一種の受験や実務経験の積み方、経験者なら1年目に担える仕事と3年後の目標を書きます。電気工事士試験は年2回(上期・下期)実施されており、学科試験はCBT方式で受験期間が長く取られています(電気技術者試験センター)。「次の下期で学科を受け、技能試験まで通す」のように時期を書くと、意欲が計画として伝わります。
未経験から電気工事士になるまでの資格取得の順番と入り方は、別記事にまとめています。志望動機の「入社後の計画」を書く前に確認しておくと、現実的な時期を書けます。
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状況別の例文 — 未経験・第二種取得済み・経験者の転職
ここからは3つの状況別に例文を示します。そのまま写すのではなく、太字にした箇所を自分の事実に置き換えてください。採用側は何百通も志望動機を読んでいるため、テンプレートのままだと見抜かれます。
状況別に強調する点の違い
| 状況 | 最も強調する要素 | 添える事実 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|---|
| 未経験・資格なし | 続ける力と手順を守る姿勢 | 第二種の受験時期、前職での継続の実績 | 「勉強します」だけで時期がない |
| 未経験・第二種取得済み | 自力で資格を取った計画性 | 学科・技能の勉強期間、独学か講座か | 資格を取ったことだけで終わる |
| 経験者の転職 | 担当した工事の種類と範囲 | 資格、担当物件、任された役割 | 前職の不満をそのまま書く |
例文1: 未経験・資格なし(前職は飲食店)
私は、生活を支えるインフラに直接関わる仕事に就きたいと考え、電気工事士を志望しました。前職の飲食店では開店前の設備点検を5年間毎日担当し、手順書に沿った確認を欠かさず続けてきました。電気工事は安全に直結する手順を守る仕事だと理解しており、この習慣を活かせると考えています。貴社を志望したのは、施工事例にある店舗の改修工事のように、飲食店の現場を知る自分の経験が役に立つ工事を手がけているからです。入社後は現場の補助作業を確実に覚えながら、次の下期で第二種電気工事士の学科・技能試験に合格することを目標にしています。
未経験の例文で重要なのは、「続けた実績」を数字(5年間・毎日)で示すことと、受験時期を具体的に書くことです。電気の知識がないことは隠さず、「手順を守る」姿勢に置き換えて伝えています。
例文2: 未経験・第二種取得済み(前職は製造業)
製造ラインの保全補助として設備の停止対応に関わるうちに、電気設備を自分の手で施工できる仕事に就きたいと考え、働きながら約半年間勉強して第二種電気工事士を取得しました。技能試験の練習では候補問題を繰り返し施工し、欠陥の判断基準を確認しながら作業する習慣がつきました。貴社を志望したのは、工場・倉庫の電気設備工事を主力としており、製造現場で覚えた設備の見方を活かせると考えたからです。入社後は器具付けや配線の作業を早期に一人で担えるようになり、実務経験を積んで第一種電気工事士の取得を目指します。
第二種取得済みの場合は、「取った」事実より「どう取ったか」(期間・方法)が計画性の証拠になります。第一種の免状には実務経験3年以上が必要なので、その道筋に触れると業界の仕組みを理解していることも伝わります。
例文3: 経験者の転職(住宅工事からビル・工場へ)
現職では住宅の電気工事を4年間担当し、分電盤の設置から照明・コンセントの配線まで一通り一人で施工しています。第二種電気工事士に加えて認定電気工事従事者の認定証を取得し、より規模の大きい設備工事に携わりたいと考えるようになりました。貴社を志望したのは、オフィスビルと工場の受変電設備の改修を多く手がけており、第一種電気工事士の取得を支援する制度があるためです。住宅工事で培った施工の正確さと工程を守る姿勢を活かし、入社後は自家用電気工作物の現場で経験を積み、3年以内に第一種の免状を取得して現場を任される立場になりたいと考えています。
経験者は「前職への不満」ではなく「次に何をしたいか」で転職理由を語ります。担当範囲を具体的に書き、応募先の工事の種類と資格支援に触れることで、「なぜうちか」に答えています。
30代・40代の未経験者が加えたい一文
30代後半以降の未経験者は、「体力面と見習い期間の待遇を理解したうえで志望している」ことを一文入れると、採用側の懸念に先回りできます。たとえば「見習い期間は年下の先輩に教わる立場になることを理解しています」「前職の管理経験は一度脇に置き、作業を覚えることに集中します」といった文です。年齢が高いほど採用側は「指示を素直に聞けるか」「体力が持つか」を気にするため、そこに自分から触れておくことが、若い応募者との差を埋める現実的な方法です。前職で部下を指導した経験は、資格を取って数年後に後輩を教える場面で活きることを、入社後の計画として添えると前向きに読まれます。
面接で口頭で話すときの短縮版
面接では志望動機を1分程度で話すよう求められることが多く、書いた文章をそのまま読み上げると長くなります。4要素のうち「電気工事を選んだ理由」と「その会社を選んだ理由」を先に短く言い、「活きる経験」と「入社後の計画」は面接官の質問に答える形で補うと、会話として自然になります。たとえば例文1なら、「生活を支える設備を自分の手で施工したいと考え、飲食店の改修を多く手がける貴社を志望しました。前職では設備点検を5年間毎日続けてきたので、手順を守る仕事は続けられます。次の下期で第二種を受ける予定です」という程度に圧縮できます。書いた志望動機と口頭の内容が食い違わないよう、圧縮版も一度声に出して練習しておいてください。
3つの例文に共通する構造
- 電気工事を選んだ理由を、自分の体験と結びつけて1〜2文で書く
- 前職の経験を「続ける力」か「手順を守る姿勢」か「担当範囲」に翻訳する
- 応募先の施工実績・工事の種類を1つ挙げて「なぜうちか」に答える
- 資格の受験時期か取得の道筋を入れて、入社後の計画を具体化する
電気工事士の志望動機で落ちやすいNG例と直し方
落ちやすい志望動機には共通点があります。どこの会社にも出せる、待遇の話だけで終わる、前職の不満が中心になる、の3つです。とくに「手に職」「安定」「稼げる」だけで構成された文章は、電気工事でなくてもよいと読まれ、続く根拠が示せていないと判断されます。
よくあるNG例と、その理由
- 「手に職をつけたいと思い志望しました」 — 他の技術職でも成立し、電気工事を選んだ理由になっていない
- 「安定していて将来性があると聞きました」 — 待遇の話だけで、自分が何をするかがない
- 「前職は残業が多く、体を壊しそうだったので」 — 不満が中心で、電気工事も残業がある現場だと矛盾する
- 「電気について一から勉強したいです」 — 意欲はあるが時期も方法もなく、計画に見えない
- 「貴社の雰囲気に惹かれました」 — 何を見てそう思ったのかが書かれておらず、どの会社にも出せる
直し方の型
NG例はどれも「一段掘り下げる」ことで直ります。「手に職」なら「なぜ電気工事の技術なのか」を、「安定」なら「安定した需要の中で自分は何をしたいか」を、「残業が多かった」なら「どんな働き方で長く続けたいか」を、それぞれ続けてください。「勉強したい」は受験時期に、「雰囲気」は施工実績や説明会で聞いた具体的な話に置き換えます。
履歴書と職務経歴書での書き分け
履歴書の志望動機欄は狭いため、4要素を1文ずつ、200〜300字に収めます。職務経歴書には「自己PR」や「志望理由」の欄を設けて400字前後で書き、履歴書では触れられなかった経験の具体例や資格の取得過程を足します。両方に同じ文章を書くと読み手に手抜きの印象を与えるので、履歴書は結論、職務経歴書は根拠、という役割分担にすると重複せずに済みます。未経験の場合、職務経歴書に「電気工事に活きる前職の経験」という見出しを立て、続ける力と手順を守る姿勢の具体例を2〜3件書くと、履歴書の志望動機を裏付ける資料になります。
転職の志望動機を職種別にテンプレート化した記事もあります。電気工事士以外の職種と書き方を見比べたい場合は参考にしてください。
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AIで志望動機を添削するプロンプト
生成AIは志望動機の「構成の整理」と「表現の改善」に向いており、「内容を作る」ことには向いていません。自分の事実(前職の具体的な行動、応募先で見た施工実績、受験計画)を先に書き出してからAIに渡すと、その人にしか書けない文章のまま読みやすくなります。 事実を渡さずに「電気工事士の志望動機を書いて」と頼むと、この記事のNG例のような汎用文が返ってきます。
添削プロンプト(コピーして使う)
あなたは電気工事会社の採用担当を10年務めた経験があるキャリアアドバイザーです。
以下の志望動機を添削してください。
【私の状況】
- 応募先: 従業員30人の電気工事会社。施工実績はオフィスビルの改修、工場の動力設備が中心
- 私: 28歳、前職は物流倉庫で4年勤務。第二種電気工事士は未取得(下期の学科をCBTで受験予定)
- 応募先を選んだ理由: 求人票に「第一種取得支援あり」「工場案件が多い」と書かれていた
【志望動機の下書き】
(ここに自分で書いた200〜400字の下書きを貼る)
【添削の条件】
1. 採用側が見る3点(続きそうか / 安全に仕事を覚えられそうか / なぜこの会社か)に対して、
下書きがそれぞれ答えられているかを○△×で評価し、理由を書く
2. 「電気工事を選んだ理由」「活きる経験」「この会社を選んだ理由」「入社後の計画」の
4要素の順に並べ替えた改善案を、300字以内で1つ出す
3. 私が書いていない事実や経験を追加しない。足りない情報があれば質問として列挙する
4. 「絶対」「誰でも」などの断定表現と、抽象的な褒め言葉(アットホーム等)を使わない
5. 改善案と別に、面接で深掘りされそうな質問を3つ挙げる
出力の使い方と注意点
AIの改善案をそのまま提出しないでください。改善案に自分が書いていない事実(架空のエピソード)が混ざっていないかを必ず確認し、混ざっていたら削ります。条件3で「追加しない」と指示していても、AIは補完することがあります。面接では志望動機の内容を必ず深掘りされるため、書いた事実はすべて自分の言葉で説明できる状態にしておいてください。
また、添削を複数回繰り返すと文章が整いすぎて、書き手の人柄が消えることがあります。2回程度で止め、最後は自分で音読して違和感のある表現を戻すと、自然な志望動機になります。
まとめ
電気工事士の志望動機は、採用側が見ている「続きそうか」「安全に仕事を覚えられそうか」「なぜうちか」の3点に答える文章として組み立てます。要素は「電気工事を選んだ理由」「活きる経験」「その会社を選んだ理由」「入社後の計画」の4つで、この順に1〜2文ずつ書けば200〜400字に収まります。
未経験なら続ける力と手順を守る姿勢を前職の行動で示し、第二種の受験時期を入れる。第二種取得済みなら取得の過程で計画性を示し、第一種への道筋(実務経験3年以上)に触れる。経験者なら担当した工事の種類と範囲を具体的に書き、不満ではなく次にやりたいことで転職理由を語る。「手に職」「安定」「雰囲気」だけの文章は一段掘り下げて直し、生成AIには事実を渡したうえで構成と表現の整理だけをさせてください。
シゴトのホント編集部
志望動機で一番効くのは、応募先の施工事例を1つ挙げることです。会社のサイトを10分見るだけで書ける一文ですが、それをしている応募者は多くありません。書く前に、その会社がどんな工事をしているかを確かめてみてください。
参照ソース
- 電気工事士 - 職業詳細(job tag・厚生労働省) — 電気工事士の仕事内容・就く方法・求められる姿勢の根拠
- 電気工事士の資格概要(電気技術者試験センター) — 第一種・第二種の業務範囲と資格制度の根拠
- 令和8年度電気工事士試験の実施日程等のご案内(電気技術者試験センター) — 試験が年2回・学科CBT方式の受験期間の根拠
- 電気工事士の免状交付(電気技術者試験センター) — 第一種免状に実務経験3年以上が必要なことの根拠


