電験三種を取っても意味ないのではないか、取得しても仕事に活きないのではないかと感じて検索している方は多いのではないでしょうか。独占業務の範囲や主任技術者の選任制度を正しく理解していないと、資格を取ったのに「意味なかった」と感じやすくなります。本記事では、電験三種が意味ないと言われる理由、取得が活きる仕事と活きにくい仕事の分かれ目、取る前に確認すべき点を整理します。
電験三種を含む電気主任技術者の仕事全般は電気主任技術者・電験三種の転職ガイドでまとめています。
電験三種は意味ないと言われるのはなぜか|よくある3つの理由
この記事の結論
- 電験三種が「意味ない」と言われるのは、資格だけでは主任技術者として選任されるとは限らず、実務経験や勤務先の体制が必要になるためです。
- 意味があるのは、ビルメンや工場の設備管理など主任技術者の選任が必要な現場で、実務経験とあわせて資格を活かせる場合です。
- 意味が薄くなりやすいのは、電気設備に関わらない職種や、選任の機会が少ない勤務先に留まったままの場合です。
- 取る前に、今の職場で資格手当や選任の対象になるか、実務経験をどう積むかを確認しておくことが重要です。
電験三種を取っても意味ないという声が出てくる背景には、いくつか共通した理由があります。まず挙げられるのが、資格を取得しただけでは、すぐに主任技術者として現場に立てるわけではないという点です。電気事業法に基づく選任の仕組み上、資格のほかに実務経験や勤務先の体制が関わってくるため、資格を取ったのに活躍の場が見つからないという状況が生まれやすくなります。
次に、取得にかかる時間と手間に対して、職場での評価や待遇の変化が見えにくいという理由もあります。電験三種は科目合格制度があるとはいえ、まとまった勉強時間を必要とする試験として知られており、取得後にすぐ手当が付く、あるいは異動や昇給につながるとは限りません。勤務先によって資格の扱いが異なるため、「せっかく取ったのに何も変わらなかった」という感覚が、意味ないという評価につながっているようです。
さらに、資格の独占業務の範囲が限定的であることも理由の一つです。電験三種が関わるのは主に電気設備の工事・維持・運用の保安を監督する業務であり、電気工事そのものを行う権限を持つわけではありません。電験三種は「設備を保安管理する立場」に関わる資格であり、「電気工事を行う立場」の資格ではないという違いを理解していないと、想定していた仕事と資格の範囲がずれてしまい、意味がないと感じやすくなります。
電気工事士とよく混同されるのも、電験三種が意味ないと感じられやすい理由の一つです。電気工事士は電気工事そのものを行うための資格であり、電験三種は設備の保安管理という別の役割を担う資格です。電気工事の実作業に携わりたくて電験三種を取得した場合、想定していた仕事内容と資格の役割がかみ合わず、「資格を取っても仕事が変わらなかった」という評価につながることがあります。
これらの理由を整理すると、電験三種そのものに価値がないというより、資格と実務・勤務先の組み合わせが合っていないときに「意味ない」という感覚が生まれやすいと考えられます。次の章では、逆にどのような仕事であれば電験三種が意味を持つのかを見ていきます。
電験三種に意味があるのはどんな仕事か|独占業務と主任技術者の選任
電験三種が意味を持つ代表的な場面は、電気事業法に基づいて事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督を行う電気主任技術者として選任される場面です。一定規模以上の電気設備を持つ工場やビル、商業施設などでは、法令上、主任技術者を選任することが求められており、その選任資格の一つが電験三種です。この選任という枠組みがあるからこそ、電験三種は単なる知識の証明ではなく、実際の業務に直結する資格になり得ます。
電気主任技術者の選任には、事業所に常駐して専任で担当する「専任」のほか、資格を持つ人材が複数の事業所を兼任する「兼任」、外部の個人や法人に選任業務を委託する「外部委託」といった形態があります。どの形態を採用するかは事業所の規模や電圧区分によって異なり、経済産業省が所管する電気事業法の規定に基づいて運用されています。電験三種を取得していても、勤務先がどの選任形態を採用しているかによって、資格を活かせる場面の多さは変わってきます。
選任が必要になるのは、主に高圧で受電する自家用電気工作物を持つ事業所です。コンビニや小規模な店舗など低圧で受電している施設では主任技術者の選任自体が不要なケースが多く、電験三種を取得していても、その資格が直接問われる場面は限られます。
具体的に意味を持ちやすい職種としては、ビルメンテナンス会社で電気設備の保安管理を担当する仕事、工場の設備管理部門で自家用電気工作物を管理する仕事、電気主任技術者の業務を外部委託として受託する仕事などが挙げられます。これらの職場では、電験三種を持っていることが選任の前提条件になったり、担当できる設備の範囲が広がったりするため、資格の有無が業務内容に直接影響します。
一方で、同じ「電気に関わる仕事」であっても、設計や施工管理、営業など選任の対象にならない業務では、電験三種を持っていても資格そのものが業務の必須条件にはなりにくい場合があります。この場合、資格は知識の裏付けとして評価される可能性はあるものの、独占業務のように「資格がなければできない」という強さは発揮しにくいと考えられます。
つまり、電験三種の意味の大きさは、勤務先が主任技術者の選任を必要としているかどうか、そしてその選任の機会が自分に回ってくるかどうかで変わってきます。電気主任技術者になるまでの道筋については、電気主任技術者になるにはで資格取得と実務経験の2つのルートを解説していますので、具体的なキャリアの道筋を知りたい方は参考にしてください。
電験三種が活きにくいのはどんな場合か|実務経験・勤務先・職種の壁
電験三種が活きにくくなる最も大きな壁は、実務経験の積み方です。資格を取得しても、電気設備の保安管理に関わる実務に触れる機会がなければ、主任技術者として選任されるための経験を積むことができません。特に、これまで電気設備とは関係のない部署で働いてきた方が電験三種を取得した場合、社内に異動できる部署がない、あるいは異動のタイミングが合わないといった事情で、資格を活かす機会が巡ってこないことがあります。
勤務先の体制も大きく影響します。電気主任技術者の選任が外部委託で済んでいる事業所や、すでに主任技術者が在籍していて増員の予定がない事業所では、資格を取っても社内でその役割に就く機会自体が限られます。資格を取ったら自動的に仕事が変わるわけではなく、勤務先が資格を活かせる体制にあるかどうかが前提になる、という点は見落とされやすいところです。
職種によっても活かしやすさは変わります。下の表は、電験三種が業務にどの程度関わるかを職種別に整理したものです。
| 職種・立場 | 電験三種の関わり方 | 活かしやすさの傾向 |
|---|---|---|
| ビルメンテナンス(設備管理) | 主任技術者の選任対象になりやすい | 活かしやすい |
| 工場の設備管理・保安管理 | 自家用電気工作物の管理に関わる | 活かしやすい |
| 電気主任技術者の外部委託業務 | 複数事業所の選任を受託する前提になる | 活かしやすい |
| 電気設備の設計・施工管理 | 知識の裏付けにはなるが選任対象ではない | 活かしにくい場合がある |
| 電気設備に関わらない営業・事務 | 業務上の必須要件になりにくい | 活かしにくい |
この表からもわかるように、電験三種は資格そのものの価値が一定でも、置かれている職種や勤務先によって活かし方が大きく変わる資格だといえます。活かしにくい状況にある場合でも、資格自体が失効するわけではありません。社内でビルメンテナンスや設備管理の部署への異動を希望する、あるいは主任技術者の選任を必要とする勤務先へ転職するなど、資格を活かせる環境に身を置き直すことで状況を変えられる可能性があります。特に、資格取得から時間が空くほど、学習した内容を実務に結びつけにくくなるため、早めに関連する職場へ身を置くことが望ましいと考えられます。実務経験の積み方については電験三種の実務経験で免状交付との関係を解説していますので、資格と実務経験の関係を詳しく知りたい方はあわせて確認してください。
電験三種を取る価値はあるのか|勉強時間と待遇のつり合いで考える
電験三種を取る価値があるかどうかを考えるときは、取得にかかる勉強時間や費用と、取得後に得られる待遇や業務範囲の広がりを天秤にかけて判断することが大切です。電験三種はまとまった勉強時間を要する試験として知られており、科目合格制度を使って複数年にわたって取得を目指す人も少なくありません。勉強時間の負担が大きい試験であるからこそ、取得後にその時間をどう回収できるかという見通しを持っておくことが、釣り合いを判断する出発点になります。
釣り合いを考えるうえでまず確認したいのは、今の勤務先、あるいは転職予定の勤務先で資格手当が付くのか、主任技術者として選任される見込みがあるのかという点です。資格手当の有無や額は勤務先ごとに差があり、本記事で具体的な金額を示すことは避けますが、採用面接や社内の制度説明で確認できる内容です。選任の見込みが具体的にある職場であれば、勉強時間をかける価値は相対的に高くなると考えられます。
次に、電気主任技術者という職種全体の待遇感を知っておくことも参考になります。電気主任技術者の年収は勤務先の種別や経験年数によって差があり、同じ電験三種という資格を持っていても、どのような勤務先でどの立場で働くかによって待遇の受け方は大きく変わります。電験三種単体の価値を論じるときも、最終的にどのような立場・勤務先で働くことを想定するかによって、取得の価値の感じ方は変わってくるものと考えられます。
キャリアの段階によっても、資格が持つ意味合いは変わってきます。ビルメンテナンスや工場の設備管理である程度の実務経験を積んだあとに取得する場合は、選任の対象としてすぐに評価されやすくなりますが、電気設備に関わる実務経験がまったくない状態で取得した場合は、資格を活かせる部署への異動や転職といった次のステップが別途必要になる点は押さえておきたいところです。資格取得にかかる学習時間を、昇給や手当といった金銭的なリターンだけで測ろうとすると、釣り合いが取れないと感じやすくなります。選任に必要な資格として任される仕事の幅が広がること自体も、取得の価値として捉えておくと判断がしやすくなります。
まとめると、電験三種を取る価値は資格そのものの難易度や内容だけで決まるのではなく、「取得後にどの立場でどれだけ使えるか」という見込みとの釣り合いで判断するべきものだといえます。見込みが立てにくいまま取得だけを先行させると、時間をかけた分だけ「意味なかった」という感覚が強くなりやすい点には注意が必要です。
取る前に確認したい3つのこと|今の職場の手当・実務経験の積み方・先に取る資格
電験三種を取ってから「意味なかった」と感じないためには、取得を決める前にいくつかの点を確認しておくことが有効です。ここでは3つの確認ポイントを順に説明します。
取る前の確認
電験三種を取る前に見る3つのこと
-
1
今の職場に手当・選任の機会があるか
就業規則や上司に確認する
-
2
実務経験をどう積むか
選任には実務経験が絡む点を押さえる
-
3
先に取る資格は何か
目的に合わせて順番を決める
1点目は、今の職場、あるいは転職を考えている職場で、電験三種の資格手当や選任の対象になる仕組みがあるかどうかです。資格を取っても、そもそも選任の制度がない職場や、すでに主任技術者が足りている職場では、資格を活かす機会自体が巡ってきにくくなります。採用情報や社内制度を事前に確認し、資格がどう評価されるかを把握しておくことが望ましいと考えられます。資格手当の額や選任対象の範囲は、求人票だけでは読み取れないことも多いため、面接の場で遠慮せずに確認しておくことをおすすめします。
2点目は、実務経験をどのように積んでいくかという見通しです。電験三種の資格と実務経験は、主任技術者として選任されるための両輪であり、どちらか一方だけでは不十分になりやすい部分があります。資格取得後にビルメンテナンスや工場の設備管理などの実務に携わる計画が立てられるかどうかを、取得前の段階である程度イメージしておくと、資格取得の目的がぶれにくくなります。
3点目は、目的によっては電験三種より先に取るべき資格があるかどうかという視点です。例えば、電気工事の実作業に早く関わりたいのであれば電気工事士の取得を先に検討する余地がありますし、将来的に電験二種以上を目指す計画があるなら、電験三種の位置づけも変わってきます。目的を明確にしてから資格の順番を決めることが、取得後に「意味ない」と感じにくくするポイントです。
取る前に確認したい3点
- 今の職場・転職予定の職場に資格手当や選任の仕組みがあるか
- 取得後にどの実務経験を積む計画を立てられるか
- 目的に応じて電験三種より先に取るべき資格がないか
これらを確認したうえで取得を決めれば、電験三種を取ったあとに感じるギャップはある程度小さくできると考えられます。
まとめ|電験三種は意味ないと感じたときの次の一手
電験三種が意味ないと感じられる背景には、資格だけでは主任技術者として選任されるとは限らないこと、取得にかかる時間と待遇の変化が見えにくいこと、独占業務の範囲が限定的であることなど、いくつかの要因が重なっています。一方で、ビルメンテナンスや工場の設備管理、電気主任技術者の外部委託業務のように、選任の仕組みと結びつきやすい職場では、電験三種は実務に直結する意味を持つ資格になります。
すでに電験三種を取得していて、今の職場では意味を感じられないという場合は、資格を活かせる職場に軸足を移すことも一つの選択です。主任技術者の選任が必要な勤務先や、実務経験を積みやすい設備管理の現場に目を向けることで、同じ資格でも評価の受け方が変わる可能性があります。逆に、これから取得を検討している場合は、取る前に職場の制度や実務経験の積み方を確認し、目的に合った資格の順番を考えることが、取得後の納得感につながるはずです。電験三種そのものは意味のない資格ではなく、選任という仕組みと結びついたときに真価を発揮する資格だといえます。迷ったときは、電気主任技術者としてのキャリア全体像を確認しながら、電験三種をどう位置づけるかを考えると判断しやすくなります。
シゴトのホント編集部
電験三種は「取ったら終わり」の資格ではなく、実務経験や勤務先の体制と組み合わせて初めて力を発揮する資格だと考えられます。資格の取得自体を迷っている方は、まず今の職場や転職候補の職場で主任技術者の選任がどう扱われているかを確認することから始めてみてください。
参照ソース
- 一般財団法人電気技術者試験センター — 電験一種・二種・三種の試験区分および実施概要
- 経済産業省 — 電気事業法に基づく電気主任技術者の選任制度の所管官庁
- 厚生労働省 — 賃金構造基本統計調査など職種別賃金統計の公表元


