電験三種の勉強では理論・電力・機械に時間を使い、法規は後回しになりがちではないでしょうか。しかし法規は条文の理解と電気施設管理の計算問題を押さえれば、短期間でも得点を伸ばしやすい科目です。この記事では、電験三種の法規の勉強法を出題範囲の整理から過去問の使い方まで順番に解説します。
科目全体の位置づけは電気主任技術者の資格ハブでまとめて確認できます。
電験三種の法規とは?出題範囲と他の3科目との違い
この記事の結論
- 法規は電気関係法規(条文知識)と電気施設管理(計算問題)の2分野で構成され、理論・電力・機械とは出題の性質が異なります。
- 条文の暗記だけに頼ると計算問題で失点しやすく、計算問題の対策だけでは条文知識の設問に対応できません。
- 法規の計算問題は電力科目と重なる部分があり、学習の順番を工夫すると他科目の対策にも生かせます。
- 直前期は過去問で出題パターンを確認し、電気設備技術基準などの改正点は最新の条文で確認する姿勢が欠かせません。
電験三種の試験科目は理論・電力・機械・法規の4科目で構成されており、法規はこのうち唯一、物理現象の計算よりも条文知識が中心になる科目です。出題範囲は大きく2つに分かれ、ひとつは電気事業法や電気設備技術基準、電気工事士法といった電気関係法規、もうひとつは保安管理や力率改善、需要率、保護協調などを扱う電気施設管理です。電気関係法規は条文の趣旨や用語の定義を正確に覚える知識型の設問が多く、電気施設管理は電力科目に近い計算問題も含まれます。この2つの出題内容が1科目の中に混在している点が、法規の勉強計画を立てにくくしている要因だと考えられます。
理論・電力・機械は電気回路や電動機、発電の仕組みなど物理現象を数式で扱う出題が中心で、公式を理解して当てはめる力が問われます。これに対して法規は、条文に書かれている内容をそのまま問う設問と、電気施設管理の計算問題という2つの異なる性質の問題が混在している点が特徴です。法規は暗記科目だと言われがちですが、計算問題を苦手なまま残すと合格ラインに届きにくくなります。そのため、条文暗記と計算問題を分けて勉強の計画を立てる発想が必要になります。
4科目の違いを整理すると、次のようになります。
| 科目 | 出題の中心 | 問われる力 |
|---|---|---|
| 理論 | 電気回路・電子理論の計算 | 公式の理解と応用力 |
| 電力 | 発電・変電・送配電の仕組みと計算 | 設備構成の理解と計算力 |
| 機械 | 電動機・パワーエレクトロニクスなどの計算 | 機器の動作原理の理解 |
| 法規 | 電気関係法規の条文知識+電気施設管理の計算 | 条文の正確な記憶と計算力の両立 |
法規だけが条文知識と計算問題の両方を必要とする点は、他の3科目にはない特徴だと考えられます。なお、法規の中でも電気施設管理で扱う力率改善や需要率、保護協調といったテーマは、電力科目で学ぶ発電・変電・送配電の仕組みと関連しているため、法規だけを独立した科目として捉えるよりも、電力科目の理解を深める延長として取り組む方が効率的だと考えられます。一方で電気関係法規の条文知識は、電力・機械・理論のどの科目とも直接の重なりがなく、法規独自の対策が必要になる点も押さえておきたいところです。次の章では、この特徴がどのように合格率やつまずきやすさに影響しているのかを見ていきます。
電験三種の法規は難しい?合格率と落ちる人がつまずく点
電験三種全体の合格率や科目別の状況は、電気技術者試験センターが試験結果として公表しています。年度によって数値は変動するため、法規だけを取り上げて「易しい」「難しい」と一概に言い切ることは難しいですが、条文知識と計算問題の両方が必要という出題の性質上、対策が中途半端だと点数が伸びにくい科目だという見方があります。最新の科目別の状況を確認したい場合は、試験センターの公表資料を見ることをおすすめします。
電験三種では科目ごとの満点に対しておおむね60点程度が合格の目安とされ、年度によって問題の難易度を踏まえた得点調整が行われることもあるとされています。科目合格制度のもとでは、一括合格を目指す場合と異なり、法規単体でこの基準点を超えられるかどうかが焦点になるため、条文知識と計算問題のどちらで何点取れているかを過去問演習の段階から把握しておくと、残りの学習時間の配分を判断しやすくなります。最新の合格基準点や得点調整の有無は、受験する年度の電気技術者試験センターの公表資料で確認しておくと安心です。
法規で苦戦する人の多くは、条文の言い回しの違いに気づけなかったり、電気施設管理の計算問題の練習量が不足していたりするケースが目立つと考えられます。また電気設備技術基準などは経済産業省令として改正されることがあるため、古い教材のまま学習を進めていると、現在の条文と異なる内容を覚えてしまう恐れもあります。こうした要因が重なると、条文知識の設問と計算問題の両方で中途半端な点数になり、合格ラインに届きにくくなります。
法規でつまずきやすい3つの要因
- 条文の言い回しを正確に読み取れず、似た内容の選択肢で誤答してしまう
- 電気施設管理の計算問題(力率改善・需要率など)の練習量が不足している
- 教材や過去問が古く、電気設備技術基準などの改正後の内容と食い違っている
これらの要因は裏を返せば、条文の読み方に慣れ、計算問題のパターンを繰り返し練習し、最新の条文を確認する習慣を持てば対策できるということでもあります。次の章では、この3つの要因に対応する具体的な勉強法の進め方を説明します。
電験三種の法規の勉強法|条文の暗記と計算問題を分けて進める
電験三種の法規の勉強法を考えるときは、電気関係法規の条文暗記と、電気施設管理の計算問題を別の学習タスクとして扱うことが出発点になります。この2つは問われる力がまったく異なるため、同じ時間配分や同じやり方で進めようとすると、どちらも中途半端になりやすいと考えられます。まずはどちらが自分にとって弱いのかを過去問で確認し、弱点に多めの時間を割る形で計画を立てるとよいでしょう。
条文暗記の部分は、電気事業法や電気設備技術基準、電気工事士法などの目的や用語の定義、保安規程や主任技術者の選任に関するルールが中心になります。条文をそのまま読むだけでは覚えにくいため、過去問の選択肢を手がかりに「どの条文のどの部分が問われやすいか」を確認し、該当する条文をe-Gov法令検索などで読み直す進め方が効率的だと考えられます。丸暗記よりも、過去問で問われたポイントから逆算して条文を確認する方が記憶に残りやすいという見方があります。
なお、電気工事士の資格を持っている場合、学習済みの電気関係法令の知識が条文暗記の土台になる場面はあります。ただし電気工事士で扱う内容は電気関係法令の一部にとどまり、電気施設管理の計算問題や電気事業法の全体までは含まれていないため、資格の有無に関わらず、法規独自の条文や計算問題は別途時間を取って対策する必要があります。
電気施設管理の計算問題は、力率改善、需要率・不等率、変圧器や電線の損失、保護協調などのテーマが繰り返し出題される傾向があります。これらは電力科目で学ぶ内容と重なる部分があるため、電力科目の学習と並行して法規の計算問題を解くと、両方の理解が同時に深まりやすいという利点があります。計算問題は公式を覚えるだけでなく、過去問を繰り返し解いて数値の当てはめ方に慣れることが欠かせません。
電験三種の法規の勉強法の進め方
- 過去問を1年分解き、条文知識と計算問題のどちらで失点しているかを確認する
- 条文知識は過去問の選択肢から問われやすい部分を特定し、該当条文を読み直す
- 計算問題は電力科目と重なるテーマ(力率改善・需要率など)から優先して解く
- 一通り終えたら再度過去問を解き、弱点が残っている分野だけを繰り返す
法規の進め方
法規は4つの手順で条文と計算を分けて進める
-
1
過去問を1年分解く
条文と計算のどちらで失点するか確認
-
2
条文は選択肢から逆算
問われた部分の条文を読み直す
-
3
計算は電力と重なる所から
力率改善・需要率などを優先
-
4
再度解いて弱点だけ反復
残った分野に絞って繰り返す
このように、条文暗記と計算問題を分けて進める勉強法は、どちらの対策も曖昧にしないための工夫だと言えます。得意・不得意は人によって異なるため、最初に過去問で現状を把握し、そこから配分を決める進め方が合理的だと考えられます。
電験三種の法規はいつ勉強する?理論・電力・機械との順番
電験三種は理論・電力・機械・法規の4科目を一括で受験することもできますが、科目合格制度を使って複数回に分けて合格を目指す受験者も少なくありません。法規をどの順番で勉強するかは、一括合格を目指すか、科目合格制度を使って数年かけて合格を目指すかによって考え方が変わってきます。
一括で4科目を受験する場合は、理論の内容が電力・機械・法規の計算問題の土台になっているため、理論から先に学習を進め、電力・機械と並行して法規の電気施設管理(計算問題)に取り組み、電気関係法規の条文暗記は試験が近づいた時期に仕上げるという進め方が一つの考え方として挙げられます。条文暗記は短期間で詰め込みやすい一方、忘れやすいという面もあるため、試験直前期にまとめて確認する形が合理的だと考えられます。
条文暗記は短期間で仕込める一方、覚えた内容を本番まで維持するのが難しいという面もあります。そのため一括合格を目指す場合でも科目合格制度を使う場合でも、電気施設管理の計算問題は電力科目と並行して早めに固め、電気関係法規の条文暗記だけを試験直前期に回すという考え方は共通して使えます。逆に条文暗記を学習の早い時期にまとめて終えてしまうと、試験当日までに細かな用語の定義を忘れてしまうリスクがある点には注意が必要です。
科目合格制度を使う場合は、合格した科目の有効期間内に残りの科目を合格させる必要があるため、法規をいつ受験するかは制度の仕組みを踏まえて決める必要があります。たとえば先に理論・電力・機械の対策を進めて計算力の土台を作り、法規は条文暗記の負担が大きい分、最後の年度にまとめて仕上げるという組み方も考えられます。科目合格制度の有効期間や年2回実施後の戦略については、電験三種の科目合格制度の使い方で詳しく解説しています。
電験三種の法規の過去問はどう使う?直前期の仕上げ方
法規は条文知識と計算問題が混在しているため、過去問の使い方も他の科目と少し違う視点が必要になります。計算問題は解き方のパターンを体に覚えさせる目的で繰り返し解く一方、条文知識の問題は「どの条文のどの表現が問われたか」を確認する教材として使うという、2つの使い方を意識するとよいでしょう。
直前期には、過去問を年度別に解くだけでなく、同じテーマ(保安規程、主任技術者の選任、力率改善など)の問題をまとめて解き直し、知識の抜けを確認する方法も有効だと考えられます。間違えた問題は、該当する条文や公式をノートにまとめておくと、試験直前の見直しがしやすくなります。電験三種の過去問全体の使い方や、科目合格制度を踏まえた年数の考え方は、電験三種の過去問の解き方でも解説しています。
過去問を解き直す際は、条文知識の設問と計算問題を同じノートにまとめるのではなく、条文知識用と計算問題用でページを分けておくと、直前期に見直す際にどちらを優先して確認すべきかが一目でわかりやすくなります。計算問題のページには公式と典型的な数値の当てはめ方を、条文知識のページには問われた条文番号と表現のポイントを書き残しておくと、短時間の見直しでも効果が出やすいと考えられます。
過去問を解く際は、使用している教材がいつの年度に対応しているかも確認しておく必要があります。古い過去問には、後述する法改正によって現在の条文と異なる内容が含まれている場合があるため、解説で条文番号や内容が最新かどうかをあわせて確認する姿勢が欠かせません。直前期は新しい問題を増やすよりも、間違えた問題を解き直す回数を増やす方が、法規の得点を安定させやすいと考えられます。
電験三種の法規の勉強で法改正に気をつけるべき点は?
法規で扱う電気事業法や電気設備技術基準などは、国の法律や経済産業省令にもとづいて定められており、社会情勢や技術の変化に応じて改正されることがあります。古い参考書や過去問の解説をそのまま信じてしまうと、改正前の内容を正しいものとして覚えてしまう可能性があるため、学習の際は注意が必要です。たとえば対象設備の範囲や基準となる数値といった部分は、見直しの対象になりやすい項目だと考えられます。
条文の現在の内容を確認したい場合は、e-Gov法令検索で電気事業法や電気設備技術基準の該当条文を直接確認する方法が安定していると考えられます。試験に出題される条文がどの時点の内容にもとづいているかは、電気技術者試験センターが公表する試験案内や出題範囲の情報もあわせて確認しておくと安心です。改正の有無を確認せずに古い教材だけで学習を進めることは避けた方がよいでしょう。
法改正の有無を確認する際は、条文全体を読み直すのではなく、過去問や参考書の解説に出てくる条文番号を手がかりに、該当箇所だけをe-Gov法令検索で確認する方法が現実的です。改正があった場合は、何が変わったのかだけでなく、なぜ変わったのかという背景も合わせて確認しておくと、類似の設問が出題された際に趣旨から正しい選択肢を判断しやすくなります。
法改正への対応は、条文を一字一句覚えることよりも、条文の目的や趣旨を理解しておくことの方が重要だという見方もあります。趣旨を理解していれば、表現が多少変わっても設問の意図を読み取りやすくなると考えられます。条文を覚える際は、単語だけでなく「なぜこの規定があるのか」まで意識すると、改正があった場合でも対応しやすくなります。
まとめ|電験三種の法規の勉強法を得点源にする手順
電験三種の法規の勉強法は、電気関係法規の条文暗記と電気施設管理の計算問題を分けて考えることが出発点になります。過去問でどちらが弱点かを確認し、計算問題は電力科目と重ねて練習し、条文暗記は試験が近づいた時期にまとめて仕込むという進め方が、効率的な対策につながると考えられます。
勉強の順番は、一括合格を目指すか科目合格制度を使うかによって変わってきます。特に電気施設管理の計算問題は電力科目との重複を生かせる一方、電気関係法規の条文暗記は法規独自の対策が必要になるため、学習の後半になるほど条文の見直しに時間を多く割る計画を立てておくと、直前期に慌てずに済むと考えられます。直前期は過去問をテーマ別に見直し、条文の改正がないかもあわせて確認することで、法規を得点源にしやすくなるのではないでしょうか。
シゴトのホント編集部
法規は後回しにされがちな科目ですが、条文暗記と計算問題を分けて取り組めば、限られた時間でも対策しやすい科目です。学習計画を立てる際は、科目合格制度の使い方も含めて自分に合った進め方を検討してください。
参照ソース
- 電気技術者試験センター — 電験三種の試験案内・出題範囲・試験結果(科目別の状況を含む)の一次情報
- e-Gov法令検索 — 電気事業法・電気設備技術基準など、法規で扱う条文の最新内容を確認できる公式サイト


