「今回は理論と電力だけ受かった。残りの2科目はいつまでに取ればいいのか」「年2回になってから、免除が使える回数の数え方が分からない」——電験三種の科目合格制度は、仕組みを正確に知らないまま使うと、免除が切れて振り出しに戻ることがあります。
この記事では、電気技術者試験センターの公式情報をもとに、科目合格の有効期間の数え方、年2回・CBT化後の受験計画の立て方、4科目をどの順番で取るかの比較、そして科目合格に頼りすぎて失敗する型と対策を整理します。
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電験三種の科目合格制度とは|合格した試験以降、連続5回まで免除される
結論から言うと、電験三種の科目合格は「最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回の試験まで、その科目が免除される」制度です(電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者の試験概要」)。年2回実施なので、合格した回を含めると6回分、期間にしておよそ3年の窓の中で残りの科目を取り切れば、4科目合格=試験合格になります。
制度の基本ルール
電験三種は理論・電力・機械・法規の4科目で構成され、科目ごとに合否が決まります。4科目すべてに合格した時点で試験合格となり、一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」として扱われます。押さえておきたいルールは次の4つです。
- 免除は申請制。受験申込みのときに科目免除を申請しないと、合格済みの科目も再受験になります。
- 免除は「連続5回」。途中で受験しなかった回も回数に数えられます。休んだ分だけ延びる仕組みではありません。
- 免除を使わない選択もできる。得点の上積みを狙って受け直すことは可能ですが、その回で落ちても元の科目合格が消えるわけではありません。
- 合格基準は科目ごとに設定される。目安は100点満点で60点ですが、難易度に応じて調整されることがあり、2024年度下期は電力科目が55点でした(電気技術者試験センター)。
有効期間の数え方を具体例で確認する
年1回だった時代は「翌年度と翌々年度」という数え方でしたが、年2回になった今は「回数」で数えます。2026年度上期に理論だけ合格した場合の例を表にすると、次のようになります。
| 試験の回 | 理論の扱い | 残り科目の状況 |
|---|---|---|
| 2026年度上期 | 合格(起点) | 電力・機械・法規が未合格 |
| 2026年度下期 | 免除1回目 | 3科目を受験 |
| 2027年度上期 | 免除2回目 | 未合格科目を受験 |
| 2027年度下期 | 免除3回目 | 未合格科目を受験 |
| 2028年度上期 | 免除4回目 | 未合格科目を受験 |
| 2028年度下期 | 免除5回目(最後) | ここまでに全科目そろえる |
| 2029年度上期 | 免除終了 | 理論も受け直し |
免除が切れた科目は、もう一度合格し直すと、その回を起点に新しい5回の窓が始まります。ただし、他の科目の窓は別々に進んでいるので、複数科目を別々の回に取っていくと、科目ごとに期限が違う状態になります。手帳やスプレッドシートに「科目名・合格した回・最終免除回」の3列を作り、期限を可視化しておくことが計画の第一歩です。
なお、試験の結果はWEBで発表され、受験者はマイページで科目ごとの合否を確認できます。次回の申込みで科目免除を申請するときに必要になるので、合格した科目名と合格した回は自分でも記録しておいてください。免除の回数はセンター側で管理されますが、「あと何回使えるか」を自分で把握していないと、計画が立ちません。
数字を見ると、科目合格制度が実際にどれだけ使われているかが分かります。2024年度下期試験(2025年3月実施)は、4科目合格者が4,117人で合格率16.8%、4科目合格者を除いた科目合格者が7,635人で科目合格率31.1%でした(電気技術者試験センター「令和6年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について」)。つまり1回の試験で、一発合格者の2倍近い人が科目合格者として次回につなげています。合格率の見方は電験三種の合格率の記事で詳しく整理しています。
翌回の2025年度上期試験でも、科目合格者は6,859人、科目合格率は27.7%でした(電気技術者試験センター「令和7年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」)。回によって差はあっても、受験者の3割前後が科目合格の形で次回に進んでいる構図は変わりません。裏を返せば、この3割の人たちがそれぞれ自分の免除期限を抱えて次の回に臨んでいるということで、期限を管理できるかどうかが、その後の合否を分ける要素になります。
年2回・CBT化後の科目合格の戦略|5回の免除をどう使うか
結論は「年2回化で免除の窓は約3年に広がったが、1回あたりの準備期間は半年に縮んだ」です。年2回になったことで、科目合格を積み重ねる戦略の価値は上がりましたが、半年ごとに受験機会が来るぶん、計画を立てずに受け続けると回数だけを消費します。
制度が変わった2つのポイント
電験三種は2022年度から年2回(上期・下期)の実施になり、2023年度からは会場のパソコンで解答するCBT方式が加わりました(電気技術者試験センター)。2025年度上期の例では、CBT方式が7月17日〜8月10日、筆記方式が8月31日という日程で、下期は翌年2月にCBT、3月に筆記という組み立てです。受験手数料はインターネット申込みで7,700円です。
年2回化の前は、1回落とすと次の機会が1年後で、そのあいだに学習の習慣が途切れる人が少なくありませんでした。年2回になった今は、落ちた科目を半年後に受け直せるので、学習の熱量を保ったまま次の回につなげられます。この「間隔が短い」という性質は、科目合格を積み上げる人にとっては追い風です。
受験者にとっての変化は次の2点です。
- 試験機会が年2回になったので、科目合格の免除「5回」は約2年半で消化される。年1回時代の「2年」より窓は広がった。
- CBT方式は期間中の日時と会場を自分で予約する。筆記方式と違って受験日を選べるため、仕事の繁忙期を避けたり、科目ごとに別の日に受けたりできる。
CBT方式と筆記方式、科目合格を狙うならどちらか
科目合格を積み上げる戦略と相性が良いのはCBT方式です。理由は、試験期間の中で科目ごとに別の日を予約できるからです。筆記方式は1日で受験科目をまとめて解く形なので、2科目受ける人は午前と午後で頭を切り替える負荷がかかります。CBT方式なら「理論を初週の土曜、電力を最終週の土曜」のように、科目の仕上がりに合わせて日程を分けられます。
一方で、CBT方式は会場の席数に限りがあり、希望する週末が早く埋まることがあります。申込み後すぐに予約を入れる、平日に受けられるなら平日の枠も候補に入れる、という準備が要ります。紙に書き込みながら計算したい人や、パソコンの画面で長時間問題を読むのが苦手な人は筆記方式を選んでも不利にはなりません。出題のレベルは方式によって変わらないとされているので、自分が集中できる環境で受けることを優先して選んで問題ありません。
半年サイクルで考える受験計画の型
半年サイクルでは「今回どの科目に集中するか」を明確にした方が、結果として早く4科目そろいます。代表的な3つの型を比較します。
| 型 | 進め方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 一気型 | 初回から4科目を受験し、落ちた科目を次回以降に回す | 電気系の学歴や実務があり、基礎がある人 | 準備不足で全科目が中途半端になりやすい |
| 2+2型 | 初回は理論+1科目、次回に残り2科目 | 働きながら半年300時間前後を確保できる人 | 2回目で1科目落ちても窓に余裕がある |
| 1科目集中型 | 半年1科目ずつ確実に取る | 学習時間が月20時間程度しか取れない人 | 4回で終わる前提。1科目でも落ちると窓が窮屈になる |
年2回化後の計画で決めておく3つのこと
- 起点となる科目(多くは理論)を「いつの回」で取るか
- 各科目の最終免除回を書き出し、余裕が2回以上あるかを確認する
- CBTか筆記かを科目ごとに決め、CBTなら予約する週まで決める
働きながらの学習時間の配分は、電験三種の勉強時間の目安で初学者と経験者に分けて整理しています。ここでは「半年で確保できる時間」から型を選ぶ、という順番だけ覚えておいてください。
4科目の順番はどう決める?理論から入る型と例外を比較
結論は「理論を最初に取り、電力と機械をその上に積み、法規を最後にまとめる」が基本形です。ただし、電気工事や設備管理の実務がある人は法規や電力から入る方が早いこともあります。科目の性格を知ったうえで、自分の持ち札に合わせて順番を決めましょう。
4科目の性格と依存関係
| 科目 | 主な範囲 | 出題の性格 | 他科目との関係 |
|---|---|---|---|
| 理論 | 電気回路・電磁気・電子回路・電気計測 | 計算中心。公式の意味を理解しないと解けない | 電力・機械の計算の土台 |
| 電力 | 発電・変電・送配電・電気材料 | 知識問題と計算問題が半々 | 理論の交流回路が前提 |
| 機械 | 変圧器・誘導機・同期機・パワーエレクトロニクス・制御・照明・電熱 | 範囲が最も広い。計算も知識も要る | 理論の電磁気と回路が前提 |
| 法規 | 電気事業法・技術基準・施設管理 | 暗記が中心だが、B問題で計算も出る | 電力・機械の知識が法令の形で問われる |
理論が土台にある構造なので、理論を後回しにすると電力と機械の計算問題で点が伸びず、3科目まとめて落とす形になりやすいのがこの試験の特徴です。2024年度下期の科目別合格者数は理論5,044人・電力4,185人・機械4,160人・法規4,144人で、理論の合格者が最も多く出ています(電気技術者試験センター)。これは理論の受験者数が多いことも影響していますが、「理論から入る」人が多数派である現実を反映した数字と読めます。
順番の3つの型を比較する
| 型 | 順番 | 向いている人 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 基本型 | 理論→電力→機械→法規 | 初学者・文系出身 | 土台から積むので理解が連続する | 機械の範囲が広く、3回目で詰まりやすい |
| 機械先行型 | 理論→機械→電力→法規 | 電動機や制御に実務で触れている人 | 最難関を早く片付け、後半が楽になる | 理論の直後に機械は負荷が高い |
| 法規先行型 | 法規→理論→電力→機械 | 電気工事士や設備管理の実務がある人 | 実務知識で法規を先に取り、成功体験を作れる | 法規の窓が先に進むため、残り3科目を4回以内に取る計画が要る |
どの型でも共通するのは、法規は単独で取れる科目ではなく、電力と機械の知識が固まるほど点が安定するという点です。法規を先に取る型は、実務で技術基準に触れている人向けの例外だと考えてください。
順番を決める前に確認したい3点
- 理論の交流回路・電磁気を、参考書の例題レベルで解けるか(解けないなら基本型)
- 実務で技術基準や高圧受電設備に触れているか(触れているなら法規先行型も候補)
- 半年で確保できる学習時間は何時間か(300時間未満なら機械は2回目以降)
同じ回に受ける科目の組み合わせ
半年で2科目取る「2+2型」なら、組み合わせは「理論+電力」→「機械+法規」が基本です。理論と電力は交流回路の計算で内容が重なり、学習の相乗効果が出ます。機械と法規は暗記の比重が上がるので、後半に回すと計算力の維持に追われずに済みます。
「理論+機械」を初回に組む人もいますが、機械は範囲の広さから半年で仕上がらないことが多く、初回で理論だけ合格して機械が残る形になりがちです。機械を初回に置くなら、変圧器と誘導機の計算問題に絞って部分点を狙うのではなく、パワーエレクトロニクスや制御、照明といった知識分野まで一通り触れておく時間が必要です。半年で確保できる時間が300時間に満たないなら、機械は2回目以降に回す方が現実的です。
実務経験者が順番を変えるときの目安
電気工事士として現場に出ている人や、ビルの設備管理で受変電設備の点検に立ち会っている人は、法規の技術基準や電力の配電の部分を「知っている内容」として読めます。この場合、法規や電力から入って初回で合格を1つ作り、学習の習慣と自信を得てから理論に取り組む順番も成り立ちます。
ただし、実務で見ている範囲と試験範囲は一致しません。高圧受電設備の点検を担当していても、送電線の特性計算や水力・火力の熱効率の計算は試験で初めて触れる内容です。「実務があるから電力は楽」という思い込みで過去問を解かずに受けると、知識問題は取れても計算問題で落とす結果になります。実務経験者ほど、初回の受験前に過去問を1年分解いて、得点できる分野とできない分野を切り分けてください。
科目合格に頼りすぎる失敗と対策|免除切れを防ぐ考え方
結論は「科目合格は逃げ道ではなく、4科目を3年以内にそろえるための道具」です。制度を「今回は1科目でいい」という言い訳に使い始めると、免除の窓が科目ごとにずれて、最後に理論を取り直す事態が起きます。
科目合格制度で起きやすい4つの失敗
- 1科目ずつ狙って窓を使い切る — 半年1科目のペースで1回でも落ちると、起点の科目の免除が先に切れる
- 理論を後回しにする — 電力と機械の計算で点が取れず、3科目が同時に止まる
- 免除申請を忘れる — 申込み時の申請漏れで、合格済み科目を受け直すことになる
- 法規だけ残して期限を迎える — 暗記科目と軽く見て準備が薄くなり、最後の1科目で2回落ちる
失敗を防ぐ3つの対策
1つ目は、最初の回で理論を含む2科目以上を受けることです。理論の窓を早く開き、その5回の中に他科目を収める設計にすると、期限管理が1本化されます。
2つ目は、窓の余裕を「あと2回」で判断することです。ある科目の免除が残り2回になった時点で、その科目以外の未合格科目に全時間を投入します。残り1回まで引っ張ると、体調不良や仕事の繁忙期で受験できなかった場合に取り返せません。
この2つの対策には共通する考え方があります。それは、期限の管理を「一番早く切れる科目」に合わせることです。複数の科目を別々の回に取っていくと、期限は科目ごとにばらばらになりますが、実際に計画を左右するのは最も早く切れる1科目だけです。その科目の残り回数を基準にして、他の科目をどの回に入れるかを決めていけば、判断に迷う場面はほとんどなくなります。
3つ目は、免除申請を申込み手順の中に組み込むことです。マイページの申込み画面で科目免除を選ぶ操作は毎回必要です。前回の合格通知に書かれている科目合格の情報を手元に置いて、申込みの当日に確認する習慣をつけてください。
免除を使わずに受け直す判断はいつするか
科目合格した科目を、免除を使わずに受け直す選択肢もあります。受け直しても元の科目合格が取り消されることはありません。ただ、目的なく受け直すのは、学習時間を未合格科目から奪うだけです。受け直しを検討する意味があるのは、免除の期限が近い科目があり、かつ他の未合格科目が今回で取り切れない見込みのときです。たとえば理論の免除が残り1回で、機械と法規の両方が未合格なら、今回は理論を受け直して窓を作り直し、機械と法規のどちらか1科目に集中する、という組み立てが考えられます。
このように、科目合格制度は「免除を使う」だけでなく「窓を作り直す」使い方もできます。期限の表を見ながら、どの科目の窓を延ばせば全体が収まるかを考えるのが、制度を使いこなすということです。
学習計画をAIに組ませるときのプロンプト
免除の期限と学習時間から計画を組む作業は、生成AIに任せると早く形になります。前提条件を全部渡すのがコツです。
あなたは電験三種の学習計画を立てるコーチです。次の条件で、次回試験までの週ごとの学習計画を表で作ってください。
- 合格済み科目: 理論(2026年度上期に合格、免除は2028年度下期まで)
- 次回受験: 2026年度下期(CBT方式、2027年2月中旬に予約予定)
- 今回受ける科目: 電力・機械
- 学習に使える時間: 平日1時間×5日、土日3時間×2日
- 使う教材: 科目別の参考書1冊ずつ、過去問10年分
- 制約: 機械は範囲が広いので、電力より多くの時間を割り当てる
- 出力: 週番号 / 科目 / 単元 / 目安時間 / その週の到達目標 の5列。最後の3週間は過去問演習に充てる
出てきた計画は、過去問の年度配分や単元の順番を自分の手で直してから使ってください。AIは免除の期限を自分から確認しないので、条件に必ず書き込むことが前提です。
まとめ
電験三種の科目合格制度は、最初に合格した試験以降、連続5回の試験まで免除が使える仕組みです。年2回実施なので、合格した回を含めて6回・約3年の窓の中で4科目をそろえることになります。
- 免除は申請制で、受けなかった回も回数に数えられる
- 年2回化で窓は広がったが、半年ごとに計画を立てないと回数を消費するだけになる
- 科目の順番は理論を土台にした「理論→電力→機械→法規」が基本形
- 半年2科目の「2+2型」なら「理論+電力」→「機械+法規」の組み合わせが学習効率が良い
- 免除の残りが2回になった科目があれば、その時点で残り科目に全時間を振る
科目合格は、4科目を一度に取れない人の救済策であると同時に、期限管理を怠ると振り出しに戻る制度でもあります。表を1枚作って期限を可視化するところから始めてください。
参照ソース
- 第三種電気主任技術者の試験概要(電気技術者試験センター) — 科目合格制度の内容、免除が「最初に合格した試験以降、最大で連続5回」であること、4科目の構成
- 科目別合格制度について詳しく教えてください(電気技術者試験センター よくあるご質問) — 免除申請の考え方と有効期間の根拠
- 令和6年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について(電気技術者試験センター) — 4科目合格率16.8%、科目合格率31.1%、科目別合格者数、合格基準点
- CBT方式のご案内(電気技術者試験センター) — CBT方式の仕組みと、受験者が日時・会場を予約する運用


