「経理を志望した理由」を書こうとして、「数字が好きだから」「安定しているから」以外の言葉が出てこない。未経験だから書けることが無い、経験者だからこそ何を強調すべきか分からない。そんな状態で応募書類の前で手が止まっていませんか。
この記事では、経理の志望動機で採用担当が見ている3つのポイント、組み立ての4ステップ、未経験・経験者・派遣から正社員の3パターンの例文、避けたいNG表現、そしてAIで添削するための実践プロンプトを解説します。
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経理の志望動機で採用担当が見ている3つのポイント
結論から言うと、経理の志望動機で採用担当が確認しているのは「なぜ経理か」「なぜこの会社か」「入社後に何ができるか」の3点です。この3つが揃っていれば、文章のうまさは二の次です。逆に、どれか1つが抜けていると「経理ならどこでもいい人」「この会社の何も見ていない人」と判断されます。
経理は、会社のお金の流れを記録し、決算書にまとめ、経営判断の材料を作る仕事です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)でも、経理事務は伝票の処理、帳簿の記帳、決算書類の作成、税務申告の補助などが仕事内容として挙げられています。採用側は、この仕事の性質に合った人物かどうかを志望動機から読み取ろうとしています。
1. なぜ経理なのか(職種の理由)
「数字が好き」だけでは足りません。経理の仕事の中身、つまり正確に処理する、期限を守る、数字の裏付けを取る、といった性質のどこに自分が向いていると考えるのかを、過去の経験で裏付けます。
2. なぜこの会社なのか(企業の理由)
「経理の求人だったから」では通りません。応募先の事業内容、経理の体制(少人数で幅広く担うのか、分業で専門性を深めるのか)、会計システムの導入状況など、求人票や採用ページから読み取れる情報に触れて、自分がその環境を選んだ理由を書きます。
3. 入社後に何ができるのか(貢献の中身)
経験者は担当できる業務(月次決算・年次決算・税務申告補助など)を具体的に、未経験者は簿記の学習状況と前職で培った関連スキルを書きます。「学ばせてほしい」ではなく「これができる、これを目指す」と書くのが基本です。
経理の志望動機が書きにくい理由
経理の志望動機が書きにくいのは、仕事の成果が売上や契約件数のように外から見えにくいためです。営業なら「売上を伸ばしたい」で通る文脈も、経理では「何をどうしたいのか」を仕事の中身に沿って言い換える必要があります。書きやすくするコツは、経理の仕事を「記録する」「締める」「説明する」の3つに分けて、自分がどこに関心があるかを決めることです。正確に記録することに向いているのか、期限までに決算を締める段取りが得意なのか、数字の意味を人に説明するのが好きなのか。この軸が決まると、前職の経験のどこを引き出せばよいかが見えてきます。
志望動機の前に確認したい応募先の情報
- 事業内容と規模(上場・非上場、従業員数、拠点の数)
- 経理部門の体制(人数、担当範囲、決算の頻度)
- 会計ソフト・経費精算システムなど、使っているツール
- 求人票に書かれた必須条件と歓迎条件(簿記の級、決算経験の有無)
経理の志望動機を組み立てる4ステップ
志望動機は、思いついた順に書くのではなく、決まった型に当てはめて組み立てます。型があれば、未経験でも経験者でも同じ手順で書けます。
ステップ1: 結論を先に書く
最初の1文で「経理を志望する理由」と「この会社を選んだ理由」を言い切ります。例えば「前職で請求業務を担当する中で、会社の数字を正確に管理する仕事に関心を持ち、少人数で決算まで幅広く担える貴社の経理を志望しました」のように、1文に2つの理由を入れます。
ステップ2: 根拠となる経験と学習を示す
結論の裏付けを書きます。経験者なら担当した業務の範囲と成果(月次決算の早期化、ミスの削減の取り組みなど)、未経験者なら数字を扱った業務の経験と簿記の学習状況です。日本商工会議所のネット試験では、簿記3級の合格率は40.8%、2級は34.6%(2025年4〜12月)で、2級は計画的な学習が要る資格です。「2級を受験予定」と書く場合は、試験日と学習の進み具合まで添えると意欲が伝わります。
ステップ3: 応募先を選んだ理由を書く
企業研究で得た情報と、自分の希望をつなげます。「クラウド会計を導入し、業務の自動化を進めている点」「上場準備中で内部統制の整備に関われる点」など、求人票や採用ページの記述を引用しながら、なぜそこに惹かれたかを説明します。
ステップ4: 入社後の貢献で締める
最後は、入社後に何をするかで締めます。「まず月次決算の補助から担当し、1年以内に一人で締められるようになる」「前職の請求業務の経験を生かして売掛金管理の精度を上げる」のように、期限や業務名を具体的に書くと実行力が伝わります。
| パターン | 強調する点 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|
| 未経験 | 前職の「数字を扱った経験」の翻訳、簿記の学習状況、正確さへの姿勢 | 「一から学ばせてほしい」「安定しているから」 |
| 経験者 | 担当した業務の範囲(決算・税務・監査対応)、改善の実績、次に担いたい業務 | 前職の不満、業務の羅列だけで終わる |
| 派遣から正社員 | 派遣先で任された業務の広がり、正社員として責任を持ちたい理由 | 「派遣は不安定だから」だけで終わる |
【未経験】経理の志望動機の例文と解説
未経験の場合は、前職の経験を「経理の言葉」に翻訳することが最も重要です。営業事務で請求書を発行していた、販売職で売上の集計と入金管理をしていた、といった経験は、経理から見れば売掛金管理や入金消込に近い業務です。
例文1: 営業事務から経理へ(簿記3級取得・2級受験予定)
営業事務として3年間、請求書の発行と入金の照合を担当する中で、会社のお金の流れを正確に記録し、経営の判断材料を作る経理の仕事に関心を持ちました。昨年、日商簿記3級を取得し、現在は2級の取得に向けて学習を続けています。貴社は少人数の経理体制で月次決算まで幅広く担当できると求人票で拝見し、実務を通じて経理の全体像を早く身につけられる環境だと考え志望しました。入社後は請求・入金管理の経験を生かして売掛金まわりの業務から着実に担当し、1年以内に月次決算の補助を任せていただけるよう努めます。
解説: 結論(なぜ経理か・なぜこの会社か)を最初に置き、前職の請求業務を経理の言葉(売掛金・入金管理)に翻訳しています。簿記は取得済みと受験予定を分けて書き、最後に期限付きの貢献で締めています。
例文2: 販売職から経理へ(数字を扱った経験を軸に)
店舗の販売スタッフとして、日々の売上集計と現金の管理、月末の在庫棚卸しを担当してきました。数字が合わない原因を突き止めて是正する作業にやりがいを感じ、会社全体の数字を扱う経理を目指すようになりました。現在は日商簿記2級の取得に向けて学習中で、11月の試験を受験予定です。貴社を志望したのは、会計ソフトの導入で定型作業を自動化し、担当者が分析や改善に時間を使える体制を整えていると採用ページで知ったためです。入社後は正確な処理を徹底することを土台に、数字の背景を読み取る力を磨いて、経理として長く貢献したいと考えています。
解説: 「数字が合わない原因を突き止める」という経理に通じる姿勢を、具体的な業務で示しています。企業研究の根拠(採用ページ)を明示し、AI・自動化に前向きな会社である点を志望理由につなげています。
例文を自分用に書き換える手順
例文をそのまま使うと、採用側にはすぐ分かります。書き換えの手順は3つです。まず、例文の「前職の業務」の部分を、自分が実際に担当した業務名と期間に置き換えます。次に、「応募先を選んだ理由」を、応募先の求人票や採用ページから拾った具体的な記述に差し替えます。最後に、「入社後の貢献」を、応募先の求人票にある担当業務の中から自分が最初に担えるものを選んで書きます。この3箇所を変えれば、型は同じでも中身は自分のものになります。
未経験から経理を目指す場合の年齢・資格・求人の現実は、未経験から経理に転職するにはで整理しています。
【経験者・派遣から正社員】経理の志望動機の例文
経験者は「何を担当してきたか」より「次に何を担いたいか、それがなぜこの会社で実現できるか」を書きます。担当業務の羅列は職務経歴書に任せ、志望動機では方向性を示します。
例文3: 経験者(中小企業から規模の大きい会社へ)
現職では従業員80名規模の企業で、日次の仕訳から月次決算、年次決算の取りまとめ、税理士との申告書のやりとりまで一人で担当してきました。決算業務を一通り経験した今、次は連結決算や監査対応といった、より専門性の高い業務に携わりたいと考えています。貴社は上場企業として四半期ごとの開示を行い、経理部門で連結・開示・監査対応を分担する体制があると伺いました。現職で培った決算を締める力を土台に、まず単体決算の担当として貢献し、連結決算と開示業務へ担当範囲を広げていきたいと考え志望しました。
解説: 担当業務の範囲を「一人で」「取りまとめ」といった責任の度合いとともに示し、次に目指す業務(連結・開示)が応募先で実現できる理由を書いています。
例文4: 派遣から正社員へ
派遣社員として2社の経理部門で計4年間、経費精算・売掛金管理・月次決算の補助を担当してきました。派遣先では業務範囲が契約で限定されるため、年次決算や税務については補助にとどまっていました。今後は正社員として決算全体に責任を持ち、業務の改善にも継続的に関わりたいと考え、正社員の経理を募集されている貴社を志望しました。貴社が電子帳簿保存法への対応を進める中で、証憑の電子化と保存ルールの整備を担当できる人材を求めていると求人票で拝見し、派遣先で経費精算システムの導入に携わった経験を生かせると考えています。
解説: 「派遣は不安定だから」ではなく「業務範囲の限定を超えて責任を持ちたい」という前向きな理由に置き換えています。応募先の課題(制度対応)と自分の経験(システム導入)を結びつけている点が評価されます。
面接で志望動機を聞かれたときの答え方
書類に書いた志望動機は、面接でそのまま聞かれます。答え方の基本は、書類の内容を要約して1分以内で話し、深掘りの質問に備えて根拠を用意しておくことです。経理の面接でよく続く質問は、「決算のどこまでを一人でやったか」「ミスが起きたときにどう対処したか」「会計ソフトは何を使ったか」「なぜ今の会社を辞めるのか」の4つです。志望動機に書いた業務について、担当の範囲・使ったツール・具体的な数字(処理件数、決算の締め日数など)を答えられるようにしておくと、書類と面接の内容が一致し、信頼性が上がります。
経理の志望動機で避けたい表現
- 「安定しているから」「残業が少なそうだから」— 応募者側の都合で、どの会社にも当てはまる
- 「数字が好きだから」だけで終わる — 経理の仕事の中身と結びついていない
- 「一から学ばせてほしい」— 受け身に見える。「これができる、これを目指す」に言い換える
- 前職や派遣先の不満 — 転職理由としても志望動機としても評価を下げる
- 求人票の文言をそのまま写す — 企業研究をしていないことが伝わる
志望動機の型は職種を越えて共通する部分が多く、経理・事務・営業の書き分けは次の記事で扱っています。
READ ALSO — キャリア
転職の志望動機、職種別テンプレ|経理・事務・営業の書き方例を紹介
AIで志望動機を添削するプロンプトと注意点
生成AIは志望動機の添削に使えます。ただし、AIに「書かせる」のではなく「自分で書いたものを添削させる」のが正しい使い方です。AIが一から書いた志望動機は、どの会社にも当てはまる一般論になりやすく、面接で深掘りされると答えられなくなります。
添削プロンプト
あなたは事業会社の経理部門で採用面接を担当する立場です。
以下の志望動機を、次の4つの観点で評価し、改善案を示してください。
1. 「なぜ経理か」「なぜこの会社か」「入社後に何ができるか」の3点が揃っているか
2. 応募先固有の情報(事業・体制・システム)に触れているか、一般論になっていないか
3. 「学ばせてほしい」「安定しているから」など受け身・応募者都合の表現がないか
4. 面接で「具体的には?」と聞かれたときに答えられる具体性があるか
評価は観点ごとに「問題なし/要改善」で示し、要改善の箇所は元の文を引用したうえで
書き換え案を示してください。私の経験に無い内容を付け足さないでください。
【応募先の情報】
従業員300名の製造業、非上場、経理は5名体制、クラウド会計を導入済み、月次決算の早期化が課題
【私の志望動機】
(ここに自分で書いた志望動機を貼る)
AIの出力を使うときの注意点
- 経験に無いことを足さない: AIは文章を整える過程で、実際にはやっていない業務を書き足すことがあります。出力を必ず自分の経歴と突き合わせます
- 応募先の情報は自分で調べて渡す: AIは応募先の内情を知りません。求人票や採用ページから拾った情報をプロンプトに入れないと、一般論の添削しか返ってきません
- 言い回しの整えすぎに注意: AIが整えた文章は流暢すぎて自分の言葉に聞こえないことがあります。面接で同じ内容を口頭で説明できるかを基準に、自分の言葉に戻します
- 個人情報の扱い: 氏名・勤務先名など特定につながる情報は伏せて入力します
添削を繰り返すより、一度添削を受けたら面接を想定して声に出して読み、詰まる箇所を自分で書き直す方が、仕上がりは良くなります。
面接の深掘り質問を想定させる使い方
添削と並んで有効なのが、志望動機をもとに面接官が聞きそうな質問をAIに挙げさせる使い方です。上の添削プロンプトの末尾に「この志望動機を読んだ面接官が深掘りしそうな質問を5つ挙げ、それぞれ何を確認しようとしているかを添えてください」と1文を足すだけで使えます。出てきた質問に自分の言葉で答えを用意し、答えられない質問があれば、その部分は志望動機から削るか、根拠を足して書き直します。書類に書いたことと面接で話すことが一致していれば、志望動機はそれで十分に機能します。
シゴトのホント編集部
経理の志望動機で差がつくのは文章力ではなく、応募先をどれだけ見たかです。求人票の「担当業務」と「使っているシステム」の欄を読み込み、そこに自分の経験や学習をつなげるだけで、一般論の志望動機とは別物になります。AIは添削役として使い、内容は自分の経験から出すことを守ってください。
まとめ
経理の志望動機で採用担当が見ているのは「なぜ経理か」「なぜこの会社か」「入社後に何ができるか」の3点です。結論を先に書く、根拠となる経験と学習を示す、応募先を選んだ理由を書く、入社後の貢献で締める、の4ステップで組み立てれば、未経験でも経験者でも同じ型で書けます。
未経験者は前職の「数字を扱った経験」を経理の言葉に翻訳し、簿記の学習状況で意欲を裏付けます。経験者は担当業務の羅列ではなく「次に担いたい業務がこの会社で実現できる理由」を書きます。派遣から正社員を目指す場合は、「不安定だから」ではなく「業務範囲の限定を超えて責任を持ちたい」という前向きな理由に置き換えます。
AIは添削役として使い、自分で書いた文章を3つのポイントと具体性の観点で確認させるのが正しい使い方です。経験に無いことを足さない、応募先の情報は自分で調べて渡す、面接で口頭で説明できる言葉に戻す、の3点を守ってください。
参照ソース
- 経理事務 - 職業詳細(厚生労働省 職業情報提供サイト job tag) — 経理事務の仕事内容(伝票処理・記帳・決算書類の作成・税務申告の補助)の根拠
- 日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験 受験者データ(日本商工会議所) — 簿記3級・2級の合格率の根拠
- 一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)について(厚生労働省) — 令和7年度の有効求人倍率の根拠


