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整備士の需要は今後も高い?整備士不足とEV普及の影響を解説

整備士の需要は今後も高い?整備士不足とEV普及の影響を解説

「自動車整備士は人手不足と聞くが、実際どれくらい需要があるのか」「EVが増えたら整備士の仕事は減るのでは」——就職や転職を考えるとき、こうした疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。本記事では整備士不足の実態、EV普及による整備需要の変化、今後も整備士が必要とされる背景を統計や業界動向から整理して解説します。

整備士としてのキャリア全体像は自動車整備士のキャリア完全ガイドにまとめています。

整備士の需要は今、どのくらい高いのか

自動車整備士の需要を考えるうえでまず押さえておきたいのが、整備業界全体が慢性的な人手不足に直面しているという実態です。国土交通省や業界団体が公表する資料では、自動車整備士の有効求人倍率が全職種平均を上回る水準で推移していることが指摘されており、求人を出しても応募が集まりにくい状況が続いていると考えられます。整備工場やディーラーの現場では、車検や点検の予約が増える時期に人手が足りず、対応に苦慮しているという声も少なくありません。こうした状況は都市部・地方を問わず広くみられる傾向だとされています。

有効求人倍率の高さが示す人手不足

自動車整備士の有効求人倍率が高い水準にあるということは、それだけ整備士1人あたりに対する求人の数が多いことを意味します。厚生労働省が公表する職業安定業務統計でも、整備関連の職種は人手不足職種の一つとして継続的に挙げられており、他の職種と比べても求人と求職のバランスが崩れやすい傾向があるといえます。この状況は一時的なものではなく、ここ数年にわたって続いている構造的な課題だと考えられます。

整備士の年齢構成にみる高齢化

整備業界が抱えるもう一つの課題が、整備士の高齢化です。日本自動車整備振興会連合会が公表する統計をみると、整備士全体に占める若手の割合は決して高いとはいえず、ベテラン整備士が現場を支えている状況がうかがえます。若手の入職者数が今後大きく増えない限り、現在の整備士が引退する時期にあわせて、人手不足がさらに深刻化する可能性があると考えられます。

整備工場の規模による違い

整備士の需要の高さは、整備工場の規模によっても現れ方が異なります。大手ディーラー系の整備工場では、研修制度や設備が整っている分、人材の確保に一定の優位性がある一方で、地域の小規模な整備工場では、限られた人数で日々の業務を回している例も多いとみられます。整備士としての就職・転職先を選ぶ際には、こうした規模による働き方の違いも意識しておくとよいでしょう。

整備需要そのものは自動車保有台数に支えられている

整備士の需要を考える際は、単に人手不足の話だけでなく、整備が必要とされる自動車そのものの台数にも目を向ける必要があります。国内の自動車保有台数は大きく増加してはいないものの、大幅に減少しているわけでもなく、一定の水準で推移しているとみられます。車検や定期点検は法令に基づいて必要とされる作業であるため、保有台数が急激に減らない限り、整備の需要自体がなくなることは考えにくいといえます。人手不足が続くなかで整備が必要な作業量が大きく変わらないとすれば、整備士1人あたりの業務負担はむしろ増える方向に向かう可能性もあります。

整備士の需要は転職市場での引き合いの強さにも表れている

整備士としての転職市場に目を向けると、経験者を積極的に採用したいと考える整備工場やディーラーが一定数存在することがうかがえます。未経験からの入職だけでなく、他の整備工場での実務経験を持つ人材に対する需要も根強く、資格と実務経験を兼ね備えた整備士であれば、転職の選択肢を見つけやすい状況にあると考えられます。ただし、待遇や働き方は職場によって差が大きいため、求人内容を丁寧に比較することが欠かせません。

整備士の需要の高さを示す3つのポイント

  • 有効求人倍率が全職種平均を上回る水準で推移していると指摘されている
  • 整備士全体に占める若手の割合が低く、高齢化が進んでいるとみられる
  • 都市部・地方を問わず、人手不足を感じている整備工場が多いとされる

整備士不足の実態と背景にある要因

整備士不足の背景には、単に景気や業界特有の事情だけでなく、若年層を取り巻く環境の変化も関係していると考えられます。自動車整備の仕事は専門的な技能が求められる一方で、拘束時間の長さや体力的な負担が大きいというイメージを持たれやすく、入職を検討する若い世代が伸び悩んでいる面があるとみられます。整備専門学校の卒業生数の推移や、業界団体が実施するアンケートなどからも、担い手不足への危機感がうかがえます。整備士不足という言葉だけでは見えにくい、こうした複数の要因を理解しておくことが、業界の実情を正しく捉える手がかりになります。

若手の入職者数が伸び悩んでいる要因

整備士を目指す若年層が伸び悩んでいる要因としては、他の職種と比較した際の労働条件のイメージや、資格取得までに一定の学習期間・実務経験が必要になることなどが挙げられます。整備の仕事は体力面での負担や、繁忙期の拘束時間の長さが指摘されることもあり、こうしたイメージが入職のハードルになっている面があると考えられます。整備士の労働環境の実態については整備士はきつい?体力面・拘束時間・繁忙期からみる負担と対処法で詳しく解説しています。

離職・定着率の課題

整備士不足は、新たに入職する人数だけでなく、現職の整備士がどれだけ定着するかという定着率の問題とも関わっています。せっかく資格を取得して整備士になっても、労働環境や待遇への不満から、他業種へ転職してしまうケースがあると指摘されています。人手不足の職場ほど1人あたりの負担が増え、それがさらに離職につながるという悪循環に陥りやすい構造があるとも考えられます。

整備業界が進める対策

整備業界では、こうした人手不足への対策として、働き方の見直しや処遇改善に取り組む整備工場も出てきています。具体的には、週休2日制の導入や、資格手当・研修制度の充実などを通じて、整備士としてのキャリアを魅力的にみせる取り組みが進められていると考えられます。整備士を目指す側にとっても、こうした取り組みを行っている職場かどうかを見極めることが、長く働き続けるうえで重要なポイントになりそうです。

整備士不足は採用活動にも影響を及ぼしている

整備士不足が深刻な整備工場ほど、採用活動に力を入れざるを得ない状況にあるとみられます。求人媒体への掲載だけでなく、専門学校との連携や、紹介制度の整備など、採用チャネルを広げる取り組みを行う整備工場も増えていると考えられます。転職を考える整備士にとっては、こうした採用に積極的な職場が増えていること自体が、選択肢の広がりにつながっているといえるでしょう。

整備士不足を深刻にしている3つの要因

  • 労働条件のイメージから若年層の入職が伸び悩んでいる
  • ベテラン整備士の高齢化で世代交代が追いついていない
  • 人手不足による負担増が離職を招く悪循環が生まれやすい

EV普及は整備士の需要にどう影響するか

電気自動車(EV)の普及が進むと、整備士の仕事が減ってしまうのではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。たしかにEVはガソリン車に比べて部品点数が少なく、エンジンオイル交換のような従来型の定期整備の一部が不要になる面があります。一方で、駆動用バッテリーやモーター、パワーエレクトロニクスなど、EV特有の装置を扱うための新しい知識・技能が求められるようになっており、整備の中身そのものが変化していく過程にあると考えられます。EV化が整備士に求める具体的なスキルの変化については自動車整備士の将来性は?EV化・AI診断機時代に求められるスキルを解説で詳しく取り上げています。

高電圧を扱うための研修・資格

EVやハイブリッド車には高電圧の駆動用バッテリーが搭載されており、これを安全に取り扱うためには専門の講習を受ける必要があります。国土交通省は、電動車の点検整備に必要な知識・技能を持つ整備士を計画的に育成していく方針を示しており、今後は多くの整備士がこうした研修を受けることになっていくとみられます。高電圧関連の作業に対応できるかどうかが、整備士としての市場価値を左右する要素の一つになっていく可能性があります。

電子制御・ソフトウェアの知識も重要に

EVや先進運転支援システムを搭載した自動車が増えるにつれて、車両に搭載されたコンピューターが出す診断情報を読み解く力も重要になってきています。従来の機械的な整備技能に加えて、電子制御装置の故障診断やソフトウェアのアップデートに関する知識が求められる場面が増えていると考えられます。1級整備士や電気装置整備士といった上位資格・特殊整備士の位置づけも、こうした変化のなかで重要性を増していく可能性があります。

整備士1人あたりの業務量が急に減るわけではない

EVの普及によって整備の一部作業が減るとしても、既存のガソリン車やハイブリッド車が街中を走り続ける期間はまだ長く続くとみられます。整備工場ではガソリン車・ハイブリッド車・EVが混在する状況で対応する必要があり、整備士1人が扱う知識の幅はむしろ広がっていく可能性があります。EVへの完全な切り替えが進むまでには一定の時間がかかるため、整備士の需要が急激に落ち込むとは考えにくい状況です。

整備士の求人でEV対応の経験が評価されることもある

整備士の求人情報のなかには、EVやハイブリッド車の整備経験や、高電圧取扱講習の受講歴を歓迎条件として挙げている例もみられます。今後EVの保有台数が増えていくにつれて、こうした経験を持つ整備士に対する評価はさらに高まっていく可能性があります。転職を考える整備士にとっては、電動車関連の経験を積んでおくことが、選択肢を広げる材料になると考えられます。

車両区分によって整備士に求められる知識がどう変わっていくのかを整理すると、以下のようになります。

車両区分 主な整備内容 新たに求められる知識
ガソリン車 エンジン・足回りの点検整備 従来型の機械整備の知識・技能
ハイブリッド車 エンジンとモーターの複合整備 駆動用バッテリー・高電圧系統の基礎知識
電気自動車(EV) モーター・バッテリー・パワエレの整備 高電圧取扱資格、電子制御・診断機の活用力

表からもわかるように、EVの普及は整備士の仕事を単純に減らすというよりも、求められる知識の中身を変化させる要因だと捉えるほうが実態に近いと考えられます。

今後も整備士の需要が続くと考えられる理由

ここまでみてきた整備士不足の実態やEV普及の影響を踏まえると、自動車整備士の需要は今後も一定水準で続いていくと考えられます。その理由の一つは、車検や定期点検が法令に基づいて必要とされる仕組みが今後も維持される見通しであることです。自動車の動力源がガソリンから電動へと変わっても、安全に走行するための点検・整備という業務そのものがなくなるわけではありません。整備士需要の先行きを考えるうえでは、短期的な景気変動だけでなく、こうした構造的な要因を合わせて捉えることが重要です。

法令に基づく点検整備の仕組みが今後も維持される見通し

自動車の車検制度や定期点検の仕組みは、道路運送車両法などの法令に基づいて定められています。動力源がガソリンからハイブリッドやEVへと変わっても、安全に走行するための点検・整備を行う仕組みそのものが撤廃される可能性は低いと考えられます。整備士が担う業務の中身は変化していくとしても、点検・整備という仕事自体の必要性は今後も続いていくとみるのが自然です。

ベテラン整備士の引退による需要の下支え

整備業界の高齢化が進んでいるということは、裏を返せば今後数年から十数年のうちに、多くのベテラン整備士が引退の時期を迎えるということでもあります。若手の入職者数が大きく増えない限り、引退による人員の減少を補いきれず、整備士の需要はむしろ高まっていく可能性があると考えられます。整備士としてのキャリアを考えるうえでは、この世代交代の局面をどう捉えるかも重要な視点になりそうです。

専門性を高めることで需要に応えやすくなる

整備士の需要が続くと考えられる一方で、求められる知識・技能の中身は変化していくため、資格取得後も学び続ける姿勢が重要になります。上位等級の資格取得や、電気装置整備士のような特殊整備士の資格、高電圧取扱講習の受講などを通じて専門性を高めておくことは、変化する整備需要に応えやすい人材になるための備えになると考えられます。資格取得だけでなく、日々の業務のなかで新しい技術に触れる機会を積極的に作ることも、専門性を高めるうえで欠かせません。

データの限界と留保しておきたい点

整備士の需要に関する統計やデータは、あくまである時点・ある調査範囲でのものである点には留意が必要です。有効求人倍率や整備士数の統計は、調査の方法や集計時期によって数値が変動することがあり、年によって多少の増減がみられる可能性があります。個別の整備工場や地域によって状況は異なるため、統計だけでなく、実際に働く職場の求人内容や労働条件を確認したうえで判断することが大切です。

整備士として需要の高い人材になるために意識したいこと

整備士の需要が今後も一定水準で続くとしても、すべての整備士が同じように選ばれるわけではありません。人手不足が続く業界だからこそ、専門性や対応力を磨いている整備士ほど、転職市場や社内での評価において有利になりやすいと考えられます。ここでは、需要の高い整備士として選ばれるために意識しておきたいポイントを整理します。

上位資格や特殊整備士の取得を計画的に進める

2級・1級といった上位資格や、電気装置整備士などの特殊整備士の資格は、取得までに一定の実務経験や学習期間が必要になります。将来を見据えて早い段階から取得の計画を立てておくことで、需要の高い分野に対応できる整備士になりやすいと考えられます。資格取得の詳しいルートについては、等級ごとの違いや受験資格を確認しておくと計画が立てやすくなります。

電動車関連の研修・講習を積極的に受講する

EVやハイブリッド車の点検整備に必要な高電圧取扱講習などは、勤務先が実施する研修だけでなく、外部の講習を活用して知識を補うことも選択肢になります。電動車の整備に対応できる整備士はまだ限られているとみられるため、早い段階で関連知識を身につけておくことは、今後の需要変化に対応するうえで有効な備えになると考えられます。

働きやすい職場を見極める視点も持つ

整備士としての専門性を高めることと同じくらい、どの職場で働くかという視点も重要です。労働環境の改善に取り組んでいるか、資格手当や研修制度が整っているかといった点は、求人情報だけでは分かりにくいこともあるため、面接や職場見学の機会を活用して確認することをおすすめします。需要が高い状況だからこそ、整備士側にも職場を選ぶ余地があるといえます。

需要の高い整備士として選ばれるための3つの視点

  • 上位資格や特殊整備士の取得を計画的に進める
  • 電動車関連の研修・講習を積極的に受講する
  • 労働環境や制度が整った職場を見極める

まとめ|整備士の需要は当面高い水準が続くと考えられる

自動車整備士の需要は、業界全体の人手不足と高齢化を背景に、今後も高い水準で続いていくと考えられます。EVの普及によって整備の中身は変化していくものの、車検や点検といった業務自体がなくなるわけではなく、高電圧関連の知識や電子制御の診断力など、新しい分野で専門性を発揮できる整備士の存在価値はむしろ高まっていく可能性があります。

整備士としてのキャリアを考えるうえでは、目の前の人手不足という状況だけでなく、資格の取得や専門性の向上を通じて、変化する需要に応えられる人材になっていくという視点を持つことが大切です。整備士需要の動向は今後も変化していく可能性があるため、資格取得後も最新の統計や業界動向を確認しながら、自分のキャリアプランに反映させていくことをおすすめします。

シゴトのホント編集部

整備士の需要は今後も底堅く続くと考えられますが、その中身はガソリン車中心の時代とは変わっていきます。資格取得後も学び続ける姿勢を持てるかどうかが、長く必要とされる整備士であり続けるための分かれ目になりそうです。

参照ソース

  • 国土交通省 — 自動車整備士制度・自動車特定整備業を所管する省庁のトップページ。整備士の需給動向や電動車対応に関する施策を掲載
  • 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 — 自動車整備士技能検定の実施団体。整備士数・年齢構成などの統計を公表
  • 厚生労働省 — 職業安定業務統計など、職種別の有効求人倍率に関する統計を所管するトップページ

FAQよくある質問

整備士は今後も需要がありますか?

整備士不足と高齢化を背景に、有効求人倍率は全職種平均を上回る水準で推移していると指摘されており、今後も一定の需要が続くと考えられます。車検や定期点検は法令に基づく仕組みであるため、需要自体がなくなる可能性は低いとみられます。

EVが普及すると整備士の仕事は減りますか?

部品点数の少なさから従来型の整備作業は一部減る可能性がありますが、高電圧系統や電子制御装置の点検など新しい整備分野が生まれています。仕事が減るというより、求められる知識の中身が変化していくと考えられます。

整備士の有効求人倍率はどのくらいですか?

具体的な数値は年度によって変動しますが、全職種平均を上回る水準で推移していると業界団体や公的統計で指摘されています。詳細な数値は国土交通省や厚生労働省の最新資料で確認することをおすすめします。

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