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事務職の年収はいくら?一般事務・営業事務・経理事務の相場と上げ方を統計で解説

事務職の年収はいくら?一般事務・営業事務・経理事務の相場と上げ方を統計で解説

「事務は給料が安い」と言われるけれど、実際いくらなのか。今の年収が相場より低いのか、このまま続けて上がるのか、判断する材料がなくて不安になっている人は多いはずです。

この記事では、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2024年)と職業情報提供サイト job tag をもとに、事務職の年収相場を全職種平均と比べ、一般事務・営業事務・経理事務の違い、雇用形態と年代で差がつく仕組み、そして事務のまま、あるいは事務から年収を上げる現実的な手段を順に整理します。

事務のキャリア全般の悩みは事務のキャリア完全ガイドにまとめています。

事務の年収の相場を統計で確かめる

結論から言うと、事務職の年収は全職種平均をやや下回る水準にあり、「安い」という印象は統計とおおむね一致します。ただし平均の裏には雇用形態と年齢による大きなばらつきがあり、そこを見ないと自分の位置は分かりません。

まず基準になる全体の数字です。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者(短時間労働者を除く常用労働者)の賃金は月額330,400円(2024年・男女計)で、前年比3.8%増と33年ぶりの高い伸び率でした。男性は363,100円、女性は275,300円です。ここでいう「賃金」は6月分の所定内給与額で、残業代と賞与は含みません。

次に事務職です。厚生労働省が運営する職業情報提供サイト job tag の「一般事務」のページでは、同じ賃金構造基本統計調査(2024年)をもとに、一般事務の平均年収を約530万円(平均年齢44.5歳)と表示しています。これは残業代と賞与を含めた一般労働者の年収換算で、パートや派遣は含まれていません。全職種の月額賃金を同じ考え方で年収換算すると500万円台半ばになりますから、正社員で見る限り事務は「極端に安い」わけではなく、平均の少し下という位置です。

厚生労働省の統計による3つの基準値。一般労働者の月額賃金は330,400円、正社員以外の賃金は正社員を100として66.9、有効求人倍率は全職業平均で1.20倍

「安い」と感じる本当の理由

では、なぜ事務は安いと感じられるのか。答えは雇用形態の偏りにあります。同じ調査で、正社員・正職員を100としたときの正社員以外の賃金は66.9(2024年・男女計)でした。事務職はパート・派遣・契約社員の比率が他の職種より高く、求人サイトで目にする事務の年収が「300万円台」に集中するのは、この正社員以外の層が平均を引き下げているためです。

つまり、事務の年収を語るときは「事務だから安い」のではなく、「事務は非正規の求人が多いから、平均として安く見える」と理解したほうが正確です。この区別は、後半で年収を上げる手段を考えるときの出発点になります。

求人倍率が低いことも年収に効く

もう一つの背景は需給です。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、全職業の有効求人倍率は2025年度平均で1.20倍でしたが、事務的職業はこの全体平均を大きく下回る水準で推移しており、1人の求職者に対して求人が1件に満たない状態が続いています。応募が集まる職種は企業が賃金を上げなくても採用できるため、賃金の上昇圧力が働きにくい。事務の賃金が全体の伸びに追いつきにくい構造的な理由です。

統計の「年収」と手取りの差を押さえる

統計の数字を自分の給与明細と比べるときは、3つのズレに注意してください。第一に、賃金構造基本統計調査の「賃金」は残業代と賞与を除いた所定内給与で、年収に直すには「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算する必要があります。第二に、集計対象は常用労働者10人以上の事業所なので、小規模な事務所の給与は反映が薄い。第三に、額面と手取りの差です。額面の年収から社会保険料と税金を引くと、手取りはおおむね8割前後になります。求人票の「月給22万円」と統計の「月額33万円」を同じ土俵で比べていないか、まず確認してください。

一般事務・営業事務・経理事務で年収はどう違うか

結論は、専門性と売上への近さが高い事務ほど年収は上がる、です。一般事務を基準にすると、営業事務はやや上、経理事務はさらに上に位置する傾向があり、これは賃金構造基本統計調査の職種分類でも、会計事務や営業・販売事務が一般事務より高い水準で出ていることと整合します。ただし差は職種名よりも、雇用形態と企業規模の影響のほうが大きい点に注意してください。

種類 主な業務 年収の傾向 上がりやすさ
一般事務 書類作成、データ入力、電話・来客対応、備品管理 事務の中で最も低め。非正規比率が高い 業務の代替性が高く、昇給幅は小さい
営業事務 見積・受発注、納期管理、営業担当の後方支援 一般事務よりやや高め。業界による差が大きい 商材知識と顧客対応力で評価されやすい
経理事務 仕訳、請求・支払、月次決算補助、税理士対応 事務の中では高め。決算経験で上がる 簿記の資格と決算経験で明確に上がる
人事・労務事務 給与計算、社会保険手続き、採用補助 経理に近い水準。法改正対応で価値が続く 社労士科目や給与計算の実務で上がる
医療事務・学校事務 レセプト、窓口、施設固有の事務 施設規模で差が大きい 施設内での昇格が中心で転職市場は狭い

表の見方と、種類を変えるときの落とし穴

表の「年収の傾向」は、同じ雇用形態・同じ企業規模で比べたときの相対的な位置です。一般事務から営業事務に移っても、正社員から契約社員になれば年収は下がりますし、経理事務でも補助業務だけの求人は一般事務と大差ありません。種類を変えるときは、「その職種の中で、どの段階の業務を任されるか」まで求人票で確認してください。求人票の業務内容に「月次決算」「年末調整」「受発注全般」のような具体的な工程名があるかどうかが、年収の上がる職種転換かどうかを見分ける目印になります。

一般事務の年収が伸びにくい構造

一般事務は「誰がやっても同じ結果になる仕事」の比率が高い職種です。job tag の職業解説でも、一般事務は特定分野の専門業務ではなく、書類作成、メール対応、伝票管理、データ入力など定型的な事務全般を担う仕事として説明されています。定型業務は経験年数が賃金に反映されにくく、代替もしやすいため、勤続10年でも年収が大きく伸びない事例が珍しくありません。

営業事務は「営業の数字」に紐づく

営業事務は、見積作成や受発注、納期調整など売上に直結する業務を担います。商材の知識や取引先との調整力が求められる分、一般事務より賃金が高めに設定されやすく、営業部門の業績が良い会社では賞与に反映されることもあります。一方で、業界の景気に年収が左右されるという裏面もあります。

経理事務は資格と決算経験で階段が見える

経理事務は、事務の中で最も「年収の階段」が見えやすい職種です。日商簿記2級と月次・年次決算の経験があるかどうかで応募できる求人の年収帯が変わり、決算を一人で回せる段階になると、事務ではなく「経理担当者」として評価されます。未経験から経理を狙うルートは未経験から経理に転職する現実的ルートで詳しく整理しています。

人事・労務事務は「法改正に追いつける人」が評価される

人事・労務事務は、給与計算と社会保険手続きが中核で、毎年の法改正や保険料率の変更に対応し続ける必要があります。手続きそのものは定型でも、変更点を正しく反映できる人は代替が利きにくく、経理と並んで事務の中では賃金水準が保たれやすい職種です。一般事務から移るなら、勤怠集計や入退社手続きの補助から入り、年末調整を一度経験すると応募できる求人が広がります。

雇用形態と年代で事務の年収はどこまで変わるか

結論として、事務職の年収差を最も大きく左右するのは雇用形態で、その次が年齢です。職種名を変えるより、非正規から正社員に移るほうが年収に与える影響は大きい。これは賃金構造基本統計調査の正社員以外の賃金水準(正社員=100に対して66.9・2024年)から直接読み取れる事実です。

雇用形態で3割以上の差がつく

正社員とそれ以外の差は、月額賃金で約3割、賞与を加えると年収ではさらに広がります。正社員以外の多くは賞与が無いか少額なため、同じ職場で同じ業務をしていても、年収ベースでは100万円以上の差になることがあります。派遣事務の時給が上がっても賞与と退職金の差は埋まりにくく、長く続けるほど生涯収入の差が積み上がります。

年代別の伸び方は職種全体より緩やか

賃金構造基本統計調査では、一般労働者の賃金は年齢とともに上がり、男性は50〜54歳でピークを迎えます(2024年)。事務職も年齢とともに上がる形は同じですが、勾配は全職種より緩やかです。定型業務が中心の一般事務では、20代と40代で担当する仕事の中身が大きく変わらないため、年齢による上乗せが小さいのが理由です。

年代別に見たときの実務的な含意は次のとおりです。

年代別に見た事務の年収の考え方

  • 20代 — 正社員かどうかが最大の分岐点。未経験でも正社員求人に入れる余地が最も大きい年代
  • 30代 — 専門事務(経理・人事・営業事務)への転換が年収差を生む。一般事務のままでは横ばいになりやすい
  • 40代以降 — 転職市場は狭くなるため、現職での役割拡大(主任・リーダー・業務改善)が現実的な上げ方

30代・40代の事務転職の実情は30代で事務職に転職するときに押さえることでも扱っています。

地域差は「求人の集まり方」の差でもある

賃金構造基本統計調査は都道府県別の職種別賃金も公表しており、事務職も都市部と地方で水準に差があります。ただし地方は生活費も低いため、額面だけで移住や転職を決めるのは早計です。むしろ注目したいのは、地方の事務求人は正社員比率が都市部と違うことがある点で、同じ「事務」でも雇用形態の構成が変われば平均年収の見え方も変わります。地域を変える転職を考えるなら、その地域の事務求人の雇用形態の内訳を先に確認してください。

企業規模でも差が出る

同じ調査では、企業規模が大きいほど賃金が高い傾向が一貫して出ています。事務職は大企業ほど分業が進み、担当領域が狭い代わりに賃金体系と賞与が安定しています。中小企業の事務は総務・経理・人事を兼ねることが多く、年収は低めでも経験の幅は広くなる。年収だけでなく、次の転職で使える経験が積めるかという視点で選ぶと、後の年収に効いてきます。

事務の年収を上げる現実的な4つの手段

結論は、正社員化、専門事務への転換、資格、AIを含むツールスキルの4つを、できれば2つ以上組み合わせることです。どれか1つで一気に上がる手段はありませんが、数年単位で見ると差が積み上がります。統計が示す「雇用形態」と「専門性」という2つの差の源泉に、それぞれ対応させた手段です。

事務の年収を上げる4段階。1は正社員求人への転職または登用、2は経理・人事・営業事務など専門事務への転換、3は簿記2級など資格の取得、4は表計算とAIで業務改善の実績を作る

手段1: 非正規から正社員へ移る

統計上、最も効く手段です。派遣や契約から正社員に移るルートは、現職での正社員登用と、正社員求人への転職の2つ。登用制度は会社ごとに実績が異なるため、「過去3年で何人が登用されたか」を確認してから待つかどうかを決めてください。転職で狙うなら、事務求人の倍率は高いので、応募先を「事務」から「営業事務」「経理補助」など専門寄りに広げると競争が少し緩みます。派遣で働いている人は、紹介予定派遣という「一定期間の派遣後に正社員として直接雇用する前提」の契約を使う道もあります。派遣先で仕事ぶりを見せたうえで正社員に移れるため、書類選考で落ちやすい人には現実的な入り口です。未経験で正社員事務を狙う戦略は未経験から事務職に転職する現実的ルートを参照してください。

手段2: 一般事務から専門事務へ職種転換する

一般事務で身につく「正確さ」「段取り」「社内調整」は、経理や人事に移るときにそのまま使えます。転換の入り口は、現職で経理や労務の補助を引き受けることです。請求書処理や勤怠集計を担当した経験があれば、次の転職で「経理事務(補助)」の求人に応募できる下地になります。

手段3: 資格で応募できる求人の年収帯を変える

資格は年収を直接上げるものではなく、応募できる求人の年収帯を変えるものです。事務系で採用側に伝わりやすいのは次の3つです。

資格 効く職種 位置づけ
日商簿記2級 経理事務・会計事務 経理求人の応募条件になることが多い
給与計算・社会保険の実務知識(社労士科目の学習を含む) 人事・労務事務 法改正対応ができる人材として評価される
MOS(Excel上級)・VBA 全事務 集計・自動化の証明。経験と併せて意味を持つ

事務の資格は「持っているかどうか」より「求人票の応募条件に書かれているかどうか」で選ぶのが近道です。求人検索で「簿記2級」「給与計算」を条件に入れ、出てくる求人の年収帯が今より高ければ、その資格は年収に効く資格です。逆に、条件に出てこない資格を取っても応募できる求人は変わりません。

資格だけを並べても評価は限られます。「簿記2級を取り、月次決算の補助を1年担当した」のように、資格と実務をセットで語れる状態を目標にしてください。

手段4: AIと表計算で「改善の実績」を作る

事務の定型業務はAIで効率化しやすく、それを実際にやった人は評価の対象になります。ポイントは、AIを使ったこと自体ではなく、「何時間の作業を何時間に減らしたか」を数字で残すことです。次のようなプロンプトは、日々の業務でそのまま使えます。

あなたは事務業務の改善担当者です。以下は私が毎月行っている業務の一覧です。
それぞれについて、(1) Excelの関数やピボットで自動化できるもの、(2) 生成AIに下書きを任せられるもの、
(3) 人が判断すべきなので手作業のまま残すもの、に分類し、理由を1行で書いてください。
最後に、削減できる時間が大きい順に上位3つを提案してください。

【業務一覧】
- 取引先ごとの月次請求書の作成と送付(約40件)
- 営業担当から届く見積依頼のメール対応
- 会議の議事録の清書と共有
- 交通費精算の内容チェック

社内文書に含まれる取引先名や個人情報は、そのまま入力せず伏せ字にしてから使ってください。改善で浮いた時間で経理補助や業務マニュアル整備など、次の職種転換につながる仕事を引き受けると、手段2と手段4がつながります。事務とAIの関係については事務職の将来性はあるのかでも整理しています。

転職で年収を上げるときの判断基準

結論は、年収の額面だけでなく「雇用形態・賞与の有無・業務の専門性」の3点で求人を比べることです。月給が数万円高くても賞与が無ければ年収では逆転しますし、専門性のない事務に移ると次の転職で伸びしろが消えます。

事務の求人を年収で比べるときの確認項目

  • 正社員か、契約・派遣か。契約なら正社員登用の実績があるか
  • 賞与の支給実績(月数)と、昨年の実績が記載されているか
  • 業務内容に「経理」「労務」「受発注」など専門領域が含まれているか
  • 残業代が固定か実費か。固定残業代込みの月給は年収換算で確認する
  • 企業規模。同じ事務でも規模で賃金水準が違う(賃金構造基本統計調査)

転職で年収が下がる典型パターン

事務の転職で年収が下がるのは、大企業の一般事務から中小企業の総務事務に移って賞与が減ったケースや、正社員から「時給が高い派遣」に移って年収では逆転したケースが典型です。月給や時給の額面だけを見ると起こりやすい失敗で、必ず年収換算し、賞与と残業の扱いを求人票か面接で確認してください。逆に、年収が一時的に下がっても経理や労務の経験が積める職場なら、3年後の転職で取り返せる可能性があります。

年収交渉で使える材料

年収交渉では、統計値をそのまま持ち出すより、「一般労働者の賃金は前年比3.8%上がっている(2024年・厚労省)」という事実と、自分が担当した業務改善の数字を組み合わせるほうが通りやすくなります。事務職が「やめとけ」と言われる背景も含めて判断したい人は事務職はやめとけと言われる理由を先に読んでください。

まとめ

事務の年収は、厚生労働省の統計で見ると全職種平均のやや下に位置し、「安い」という印象はおおむね正しい一方で、その主因は事務という職種そのものより、非正規の求人が多いことと求人倍率の低さにあります。一般事務・営業事務・経理事務の順に年収が上がる傾向はありますが、差を大きく左右するのは雇用形態と年齢、企業規模です。

年収を上げる手段は、正社員化、専門事務への転換、資格、AIを含むツールスキルの4つ。単独ではなく2つ以上を組み合わせ、数年単位で積み上げるのが現実的な道筋です。求人を比べるときは額面ではなく、雇用形態・賞与・専門性の3点で見てください。

シゴトのホント編集部

「事務は安い」で止まらず、自分の年収が「事務だから」なのか「非正規だから」なのかを分けて考えると、次に打つ手が見えます。統計は平均を示すだけで、あなたの年収を決めるのは雇用形態と専門性の選び方です。

参照ソース

FAQよくある質問

事務職の年収は全職種の平均より低いのですか?

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では一般労働者全体の賃金は月330,400円で、事務系の職種はこの全体平均をやや下回る水準にあります。ただし同じ事務でも正社員か正社員以外か、企業規模、年齢で大きく変わるため、一つの平均値だけで判断するのは早計です。

一般事務・営業事務・経理事務で年収に差はありますか?

あります。専門知識や判断が求められる経理事務や、売上に近い営業事務は一般事務より賃金水準が高くなる傾向があります。ただ差の大きさは企業規模や雇用形態のほうが大きく、職種名だけを変えても雇用形態が同じなら年収の伸びは限られます。

事務職のまま年収を上げる現実的な方法はありますか?

正社員登用または正社員求人への転職、経理・人事など専門事務への職種転換、簿記や社会保険の資格取得、表計算とAIツールで業務を効率化して評価につなげる、の4つが現実的です。どれも数年単位の取り組みですが、複数を組み合わせると効果が重なります。

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