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電気工事士に将来性はある?人手不足の実態とAI時代の需要

電気工事士に将来性はある?人手不足の実態とAI時代の需要

「電気工事士に将来性はあるのか」「この先AIに仕事を奪われないか」——資格取得を検討している人も、すでに現場で働いている人も、一度は感じる不安だと思います。結論から言うと、電気工事士は当面深刻な人手不足が続く見通しで、しかもAIに代替されにくい物理作業が仕事の中心のため、需要そのものはむしろ底堅いといえます。この記事では、経済産業省の推計データで人手不足の実態を確認したうえで、AI時代に仕事がなくならない理由、今後伸びる分野、AIを味方につけるキャリア戦略までまとめて解説します。

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電気工事士の人材不足の実態|経済産業省の推計データで検証

「電気工事士は将来性がない」という不安の裏側には、業界そのものが縮小しているのではという懸念があるはずです。しかし経済産業省の審議会資料を見る限り、実態はむしろ逆です。課題は「仕事が減ること」ではなく「担い手が足りなくなること」です。

経済産業省 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会の電力安全小委員会が示した資料「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」によると、電気工事士の需給には次のようなギャップが見込まれています。

資格 不足が顕在化する時期 想定需要 不足見込み
第一種電気工事士 2020年代前半 約20.4万人 約2万人
第二種電気工事士 2045年時点 約8.6万人 約0.3万人

第一種電気工事士は想定需要約20.4万人に対して約2万人の不足が見込まれるとされ、ビルや工場など大規模施設の電気工事を担う人材ほど不足が深刻です。第一種は自家用電気工作物(最大電力500kW未満の工場・ビルなど)まで扱える上位資格のため、経験者が抜けた穴を若手だけで埋めきれていない構図が見えます。第二種電気工事士も2045年には約0.3万人の不足に達する見通しで、時期の差こそあれ、どちらの資格でも「担い手が需要に追いつかない」構造は共通しています。

なぜ人手不足が起きるのか

なぜこの構造が生まれるのか。同じ資料は3つの要因を指摘しています。

電気工事士の人手不足を生む3つの構造要因

  • 入職率の低さ — 電気工事士養成施設や工業高校電気科の卒業者が実際に電気工事業界へ入職する割合は15%程度にとどまる
  • 若手の薄さ — 30代以下の電気工事士は業界全体の1割程度しかいない
  • 離職率の高さ — 就業後3年以内の離職率は20〜40%とされ、定着そのものが課題になっている

同資料では、こうした状況に対して業界と行政が連携した民間協議会を発足させ、若者をメインターゲットにした情報発信サイトを開設するなど、認知度向上に向けた取り組みが始まっていることも紹介されています。裏を返せば、電気工事士という仕事の中身や将来性が、進路を選ぶ若い世代にまだ十分伝わっていないという課題認識があるということです。資格の取得自体はハードルが高すぎるわけではなく、業界の認知度や入り口の情報不足がボトルネックになっている、と読むこともできます。

なお、同じ「電気保安人材」の枠組みでは、ビルや工場の電気設備を維持管理する電気主任技術者(電験)も人材不足が課題とされていますが、これは電気工事士とは別の資格です。電気工事士は実際に配線・結線などの工事を行う資格、電気主任技術者は工事後の設備を保安・監督する資格という違いがあります。求人情報などで混同されがちなので、将来性を調べるときはどちらの資格の話をしているのか区別しておくと誤解が少なくなります。

資格取得者は減っていない

一方で、資格そのものへの関心は途切れていません。一般財団法人電気技術者試験センターが公開している第二種電気工事士試験の結果推移を見ると、令和7年度の受験者数は139,087人で、直近5年間で最多でした(合格率56.6%)。令和8年度上期も78,290人が受験し合格率62.2%です。過去には令和4年度145,088人、令和5年度134,025人、令和6年度132,462人と推移しており、受験者数は年によって上下しながらも高水準を維持しています。

つまり、資格を取る人は減っていないのに、業界に実際に入る人(入職率15%程度)は少ない——ここに電気工事士の人手不足の本質があります。取得したものの他業種に進む人、資格だけ保有して電気工事以外の仕事に就く人が一定数いるということです。逆に言えば、資格を取って実際に現場に入った人にとっては、需要に対して担い手が少ない分だけ選択肢が広い状況が続くとも言えます。「取っても仕事があるか不安」というより、「取って現場に入りさえすれば必要とされやすい」というのが実態に近いでしょう。

同じ人手不足でも、施工管理や設備管理など他の建設・保安系の職種と比べると、電気工事士は「資格がなければ工事そのものができない」という点で特殊です。電気工事士法により、電気工事の作業は電気工事士でなければ行えないと定められており、無資格者が代わりを務めることはできません。人手不足がそのまま「有資格者の希少価値」に直結しやすい職種だと言えます。

AI・自動化で電気工事士の仕事はなくなるのか|物理作業の特性から検証

人材不足が続く一方で、「それならAIやロボットが代わりをすればいいのでは」という見方もあります。ここは電気工事士という職種の特性から冷静に見る必要があります。

電気工事士の仕事の中心は、配線・結線・盤内工事といった物理的な施工作業です。同じ「電気工事」でも、建物ごとに躯体の形状や既存配線の状態、使用条件が異なり、図面通りにいかない現場調整が日常的に発生します。さらに感電や停電のリスクを伴うため、その場の状況を見た安全判断が欠かせません。こうした「毎回条件が変わる物理作業」と「命に関わる安全判断」は、現時点のAIが最も苦手とする領域です。カメラやセンサーで状況を認識する技術は進んでいますが、狭い天井裏や壁の中で工具を使って結線する、といった作業をロボットに任せられる段階には至っていません。

AIが代替・支援しやすい業務(積算の下書き・図面や仕様書の読み解き補助・点検データの異常検知)と、人にしか出来ない業務(配線や結線の実作業・感電や停電リスクの安全判断・既存設備との整合調整)を対比した図

実際、経済産業省の資料でも電気保安人材不足への対応策の1つとして「スマート技術導入による電気保安業務の高度化・効率化」が挙げられています。これは現場の作業そのものをAIに置き換える話ではなく、点検データの解析や図面・仕様書の読み解き、積算の下書きといった情報処理をAIに任せ、電気工事士は物理作業と安全判断に集中できるようにする、という役割分担の話です。AIは電気工事士の仕事を奪う存在ではなく、担い手不足を補う道具として位置付けられていると読むのが実態に近いでしょう。

加えて、先ほど触れた電気工事士法の独占業務規定も、仕事がなくならない理由の一つです。ロボットやAIがどれだけ進化しても、現行の制度上は有資格者による施工・確認が前提になっており、無資格の機械が単独で電気工事を完結させることは想定されていません。技術的な難しさに加えて、この制度的な枠組みも、電気工事士という資格の価値を下支えしています。

他の職種と比べてみると分かりやすいかもしれません。書類作成やデータ入力が中心の事務職はAIによる自動化の影響を受けやすい一方、電気工事士のように「現場で工具を使い、法律上その人にしかできない作業をする」職種は、AIによる代替よりも「人手不足でどう回すか」の方が現実的な課題になります。将来性を心配するなら、AIに仕事を奪われる不安よりも、人手不足の中でどう技術を磨き、どの会社で経験を積むかという視点で考えるほうが実用的です。

定型業務がAIに移ることのメリット

現場の電気工事士にとって、こうした変化は脅威というよりむしろ追い風になり得ます。見積もりの下書きや書類作成、法改正の確認といった事務的な負担が軽くなれば、その分だけ本来の施工や現場対応に時間を割けるようになるからです。人手不足で1人あたりの業務範囲が広がりがちな業界だからこそ、定型業務をAIに任せて身体を使う仕事に集中する、という分業は現実的な選択肢になっていくでしょう。

今後も需要が伸びる分野|再生可能エネルギー・EV充電設備で高まる電気工事士の将来性

人手不足が続くだけでなく、電気工事そのものの需要が増える分野もあります。経済産業省の資料は、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進、再生可能エネルギー設備の拡大、EV充電インフラの整備、老朽化した電気設備の更新を、今後工事需要が増える要因として挙げています。

今後、電気工事士の需要が伸びやすい4分野

  • 再生可能エネルギー設備 — 太陽光・蓄電池など発電設備の新設・接続工事
  • EV充電インフラ — 経済産業省は2030年までに充電インフラを現状の10倍にあたる30万口(うち公共用急速充電器3万口)へ拡大する方針を示している
  • 老朽設備の更新 — 高度経済成長期に整備された電気設備の更新需要
  • 電気保安業務の担い手拡大 — 有資格者の活躍の場を広げる取り組み

EV充電インフラという新しい市場

4つの分野に共通するのは、いずれも国の政策方針として資金と制度が後押ししている点です。個々の企業の景気動向に左右される仕事と違い、GX推進や脱炭素化は国全体の方針として続くことが前提になっているため、工事需要そのものが急になくなるリスクは相対的に低いと考えられます。転職先を選ぶときも、これらの分野に強みを持つ会社かどうかは、将来性を見極める一つの目安になります。

特にEV充電インフラは数字が具体的です。経済産業省が2023年10月に策定した「充電インフラ整備促進に向けた指針」では、2030年までに充電インフラ全体を30万口(公共用急速充電器3万口を含む)に拡大し、充電器全体の総出力を現在の39万kWから約10倍の400万kWにする方針が示されています。急速充電器の平均出力も40kWから80kWへの引き上げが見込まれています。

充電器の設置には高圧受電設備(キュービクル)の工事など電気工事士の専門知識が必要な工程が多く、機器本体よりも工事費の比重が大きいとされる点も見逃せません。商業施設や集合住宅の駐車場、高速道路のサービスエリアなど、これまで電気工事の対象になっていなかった場所に新しい工事需要が生まれているということです。

未経験から入りやすい理由

こうした新設分野は、既存の建物の改修工事とは違い、業界未経験からでも新しい知識として学びやすいという側面もあります。長年の現場経験がものを言う老朽建物の改修と違い、再生可能エネルギー設備やEV充電インフラはどの電気工事士にとっても比較的新しい分野だからです。資格を取ったばかりの若手でも、研修や実地経験を積めば経験者と対等に近い立場で関われる余地があります。将来性を考えるなら、こうした伸びる分野の工事経験を早いうちから積んでおくことが、長期的なキャリアの選択肢を広げることにつながります。

老朽設備の更新も見逃せない分野です。高度経済成長期に建てられたビルや工場の電気設備は更新時期を迎えているものが多く、建て替えではなく改修で済ませるケースでは既存配線の状態を踏まえた工事が必要になります。新設分野ほど華やかではありませんが、こちらは経験を積んだ電気工事士の判断力が特に生きる領域で、キャリアの後半になるほど強みにしやすい分野だと言えます。将来性を考えるときは、新設分野で経験の幅を広げつつ、更新工事で専門性を深めるという両輪で考えるとキャリアの選択肢が広がります。

AIを味方につける電気工事士のキャリア戦略

ここまで見てきたように、電気工事士の将来性は「仕事がなくなるかどうか」ではなく「担い手をどう確保・育成するか」という問題です。だとすれば、AI時代のキャリア戦略は、AIに仕事を奪われないようにするというより、AIを学習と情報収集の道具として使い倒し、限られた時間で資格取得と実務経験を積むことだと言えます。

代表的な使い道が、学科試験の学習計画づくりです。第二種電気工事士の学科試験は配線図・鑑別・法令・計算と出題範囲が広く、独学の場合は計画を立てる段階でつまずきやすいところです。AIチャットに次のようなプロンプトを渡すと、自分の残り時間に合わせた学習計画のたたき台を作れます。

あなたは第二種電気工事士の学科試験対策コーチです。
以下の条件で、週単位の学習計画を作成してください。

- 試験日までの残り期間: [例: 10週間]
- 平日に使える学習時間: [例: 1日1時間]
- 休日に使える学習時間: [例: 1日3時間]
- 得意/苦手分野: [例: 配線図問題は苦手、法令問題は得意]

出力条件:
1. 週ごとに「その週の目標」と「学習内容」を箇条書きで示す
2. 配線図・鑑別・法令・計算問題など分野ごとの配分を明示する
3. 試験直前2週間は過去問演習中心の計画にする
4. 各週の終わりに理解度を自己チェックする質問を3つ入れる

条件欄を自分の状況に置き換えて使ってください。AIが出す計画はあくまでたたき台なので、実際の過去問演習の手応えを見ながら自分で調整することが前提です。特に配線図問題や実技(技能試験)は、AIの説明を読むだけでなく手を動かして練習しないと身につきません。AIはあくまで計画づくりと知識の整理を助ける役割で、技能そのものを代わりに習得してくれるわけではない、という前提は忘れないようにしてください。

学習計画づくり以外にも、法改正や新しい工法に関するニュースの要点をAIに整理させる、現場で疑問に思った用語をその場で調べる、転職先を比較する際に求人票の条件を整理させる、といった使い方も学習・情報収集の効率を上げてくれます。人手不足の業界で1人あたりの負担が増えやすいからこそ、こうした周辺業務をAIに任せて本業に時間を回す発想が、これからのキャリア戦略として有効です。

第二種で現場経験を積んだあと、第一種電気工事士へのステップアップを考える人も多いはずです。その場合も同じプロンプトの条件欄を書き換えるだけで、第一種向けの学習計画に応用できます。加えて、自分の勤務シフトや繁忙期をAIに伝えたうえで学習計画を作らせると、仕事と両立しやすい現実的なペース配分になりやすい点もポイントです。人手不足の現場では急な出勤変更も起きやすいため、計画は一度作って終わりにせず、状況が変わるたびにAIと一緒に見直す前提で使うと続けやすくなります。

シゴトのホント編集部

電気工事士の「将来性」を考えるときは、「仕事が減るかどうか」ではなく「担い手が足りているかどうか」で見るのが実態に近いです。人手不足の業界だからこそ、資格を取って実際に現場に入った人には選択肢が残ります。転職・キャリアで悩んだときは、まず電気工事士のキャリア完全ガイドから関連記事を探してみてください。

参照ソース

FAQよくある質問

電気工事士はAIに仕事を奪われますか?

配線や結線などの物理作業は現場ごとに条件が異なり自動化が難しいため、仕事が丸ごと無くなる可能性は低いと考えられます。経済産業省の資料でも、スマート技術は電気保安業務を代替するのではなく効率化・高度化する手段として位置付けられています。

電気工事士は今後も人手不足が続きますか?

経済産業省の推計では、第一種電気工事士は2020年代前半に想定需要約20.4万人に対し約2万人、第二種電気工事士は2045年時点で想定需要約8.6万人に対し約0.3万人の不足が見込まれており、当面は人手不足が続く見通しです。

電気工事士の将来性が特に高い分野はどこですか?

再生可能エネルギー設備やEV充電インフラの新設、老朽化した電気設備の更新工事です。経済産業省はEV充電インフラを2030年までに現状の10倍の30万口へ拡大する方針を示しています。

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