電験三種に合格した人のなかには、次の目標として電験二種を考えつつも、「二次試験まであると聞くと急に難しそうで踏み出せない」と感じている人が少なくないのではないでしょうか。本記事では電験二種の難易度を電験三種と比較しながら、一次試験(筆記)と二次試験(電力・管理、機械・制御)の構成の違い、そして電験三種取得後のキャリアパスとしての位置づけを整理します。
電気主任技術者としてのキャリア全般は電験三種のキャリアガイドにまとめています。
電験二種の難易度を電験三種と比較する|試験制度全体からみる位置づけ
電験二種(第二種電気主任技術者試験)は電験三種と同じく電気事業法に基づく国家資格で、試験の実施は一般財団法人電気技術者試験センターが担っている。所管官庁も経済産業省で共通しており、制度上は電験三種の上位に位置づけられる資格である。両者の最大の違いは、電験三種がマークシート方式の学科試験のみで完結するのに対し、電験二種は一次試験(筆記)に加えて記述式の二次試験が課される点にある。この二段階構成そのものが、電験二種の難易度を語るうえで欠かせない前提になる。
合格率について一律の数字で「何%だから簡単」「何%だから難しい」と言い切ることはできないが、電気技術者試験センターが公表する結果を見る限り、電験二種は一次試験・二次試験のいずれも電験三種より低い水準で推移する年が多いとされる。特に二次試験は記述式であるため、マークシート方式の一次試験のように部分的な知識でも選択肢から正解を絞り込むという解き方が通用しにくく、この形式の違いが体感的な難易度の差につながっていると考えられる。
電験二種の難易度を電験三種と比較するときの3つの視点
- 電験三種は学科試験のみだが、電験二種は一次試験(筆記)に加えて記述式の二次試験がある
- 一次試験・二次試験とも電験三種より合格率が低い水準で推移する年が多いとされる
- 一次試験の出題範囲は電験三種と同じ理論・電力・機械・法規だが、内容はより高度になる
こうした違いを踏まえると、電験二種の難易度を単純に「電験三種より少し難しい」という感覚だけで捉えるのは実態に即していないと考えられる。試験制度そのものの構造が異なる以上、対策の立て方や必要な学習時間の見積もり方も、電験三種のときとは分けて考える必要があるだろう。
扱う電気工作物の規模の違い
電験三種は電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5000キロワット以上の発電所を除く)を対象とするのに対し、電験二種を取得すると選任できる事業用電気工作物の範囲が電圧17万ボルト未満まで広がる。難易度の差は、この取り扱える設備規模の広がりとも無関係ではないと言える。より大規模で高圧な設備の保安を任される資格であるぶん、問われる知識の深さや計算の複雑さも電験三種より一段上がる構成になっていると考えられる。電験二種を取得することで選任の対象になり得る設備には、大規模な工場の受変電設備や、一部の発電所・変電所の保安管理などが含まれると考えられ、電験三種の段階よりも担当できる現場の幅が広がる可能性がある。
電験二種の試験構成|一次試験(筆記)と二次試験(電力・管理)の違い
電験二種の試験は一次試験と二次試験の二段階で構成され、この構成の違いを理解することが難易度を把握する出発点になる。一次試験は理論・電力・機械・法規の4科目で、電験三種と同じ科目名ではあるものの、出題される内容はより高度で、計算問題も複雑になる傾向がある。マークシート方式(多肢選択式)である点は電験三種と共通しており、選択肢の中から正解を選ぶ形式そのものは変わらない。
一次試験に合格した人だけが二次試験に進める仕組みになっており、二次試験は電力・管理、機械・制御の2科目で構成される。この二次試験がマークシート方式ではなく記述式(論述・計算)である点が、電験二種の難易度を語るうえで最も重要な違いになる。計算過程を自分の言葉と数式で示す必要があり、答えの数値だけが合っていても途中の考え方が不十分だと得点につながりにくいと考えられる。
| 試験 | 科目構成 | 出題形式 |
|---|---|---|
| 電験三種 | 理論・電力・機械・法規(4科目) | マークシート(五肢択一) |
| 電験二種 一次試験 | 理論・電力・機械・法規(4科目) | マークシート(多肢選択式) |
| 電験二種 二次試験 | 電力・管理、機械・制御(2科目) | 記述式(論述・計算) |
なお、一次試験に合格すると、その年に二次試験が不合格だった場合でも、一定期間は一次試験が免除されて二次試験から再挑戦できる制度がある。制度の詳しい適用条件や有効期間は年度によって受験案内が更新されるため、出願前に電気技術者試験センターの最新の受験案内で確認することが欠かせない。この免除制度があることで、一次試験と二次試験を毎年セットで突破しなければならないという重圧は多少和らぐと考えられる。一次試験と二次試験を同じ年に突破できなくても、次年度以降に二次試験から再挑戦できる可能性がある制度を活用しながら、複数年がかりで計画的に学習を進める受験者も少なくないと考えられる。焦って一度に仕上げようとするよりも、一次試験と二次試験それぞれに必要な学習期間を見積もったうえでスケジュールを組むほうが、結果的に無理のない対策になりやすい。
電験三種と共通する科目名でも中身は別物
一次試験の科目名が電験三種と同じ理論・電力・機械・法規であることから、「電験三種の延長線上」というイメージを持つ人もいるが、実際の出題内容は難易度・計算量ともに一段上がるとされる。電験三種で扱った基礎的な公式や考え方を土台としつつ、より複雑な回路や設備を想定した応用的な計算問題が増える点は、電験二種の一次試験対策を始める前に理解しておきたいポイントだ。たとえば電力科目では、電験三種で扱う発電・変電・送配電の基礎に加えて、系統全体の運用や需要設備の管理に関わるより実務に近い内容が問われやすいとされる。機械科目についても、電動機の基礎的な特性だけでなく、パワーエレクトロニクスや自動制御と関連づけた応用的な内容が増える傾向があるとされ、電験三種の知識をそのまま当てはめるだけでは対応しきれない場面が出てくると考えられる。
一次試験の対策と難易度のポイント
電験二種の一次試験は電験三種と同じ4科目構成のため、電験三種の学習経験がそのまま土台になる部分は大きい。理論科目で身につけた電気回路や電磁気学の基礎、電力科目で学んだ発電・変電・送配電の仕組み、機械科目の電動機やパワーエレクトロニクスの知識、法規科目の法令知識は、いずれも電験二種の一次試験を理解するための前提になる。ただし出題される計算問題は電験三種より複雑になり、公式を当てはめるだけでは解ききれない応用問題が増える傾向があるとされる。
理論科目は電験三種と同様、他の3科目の理解を左右する土台になる科目である。電験二種では複素数を使った回路計算や、より発展的な電磁気学の内容が問われることが多く、電験三種の理論科目で扱った内容だけでは対応しきれない部分も出てくると考えられる。このため、電験三種合格からあまり時間を空けずに電験二種に挑戦する場合でも、理論科目の学習は基礎の再確認からではなく、応用力を伸ばす段階から始める必要がある。
電験二種一次試験の対策で意識したい3点
- 電験三種で学んだ基礎は土台になるが、そのままでは対応しきれない応用問題が増える
- 理論科目は複素数を使った回路計算など、より発展的な内容が問われやすい
- マークシート方式ではあるが、選択肢を絞り込むための計算力そのものが求められる
計算力を鍛える演習量の確保が、一次試験突破の分かれ目になりやすい。電験三種のときと同じ感覚で過去問演習に取り組むと、計算過程でつまずく場面が増える可能性があるため、公式を覚えるだけでなく、なぜその式になるのかという理解を伴った学習が遠回りに見えて結果的に近道になると考えられる。電力科目や機械科目についても、電験三種で学んだ基礎知識をベースにしながら、より複雑な条件設定のもとで計算させる問題が増える傾向があるとされる。法規科目は暗記が中心になりやすい科目ではあるが、電験二種では条文レベルの細かな知識や、それを実務にどう適用するかを問う出題が見られることもあるとされ、単純な暗記だけでなく、条文の趣旨を理解したうえで学習を進める姿勢が求められると考えられる。
過去問を解く際には、電験三種で使っていた参考書や問題集だけでなく、電験二種向けに書かれた教材で演習量を積み増すことも有効だと考えられる。出題傾向や必要な計算スピード感が異なるため、電験三種の教材だけで学習を終えてしまうと、本番で戸惑う場面が増える可能性がある。また、一次試験は二次試験に進むための関門でもあるため、一次試験の学習に時間をかけすぎて二次試験対策に着手する時間が足りなくなるという事態も避けたい。特に働きながら受験する場合は、一次試験の合格を確実にすることと、二次試験に向けた記述対策を早めに始めることの両立が課題になりやすいと考えられる。
二次試験(電力・管理)の難易度|記述式という壁
電験二種の難易度を語るうえで最大のポイントになるのが、二次試験という記述式の関門である。電力・管理科目は発電・変電・送配電・配電といった電力系統の運用や保守、需要設備の管理に関する知識を、論述と計算の両方で問う科目になっている。機械・制御科目は電動機やパワーエレクトロニクス、自動制御の理論を扱い、こちらも計算過程を記述させる問題が中心になる。
マークシート方式の一次試験とは異なり、二次試験では答えに至る過程そのものが採点対象になると考えられる。選択肢から正解を選ぶ一次試験の感覚のまま臨むと、途中式の書き方や論述の構成に戸惑う受験者も少なくないとされる。特に電力・管理科目の論述問題では、電力系統の仕組みを自分の言葉で説明する力が求められ、暗記した用語を並べるだけでは十分な得点につながりにくい。
二次試験でつまずきやすい3つのポイント
- 記述式のため、答えの数値だけでなく途中の考え方や式の展開も採点される
- 電力・管理科目の論述問題は、用語の暗記だけでは説明しきれない
- 機械・制御科目は計算量が多く、時間内に解ききる処理速度も求められる
この採点方式の違いは、日々の学習の進め方にも影響を与える。一次試験対策では正解の選択肢にたどり着ければよいが、二次試験対策では答案を実際に書き起こし、途中の説明や式変形を含めて自己点検する習慣をつけておく必要がある。普段の演習から答えだけを頭の中で確認して終わらせてしまうと、本番でいざ記述しようとしたときに、途中の論理をどう言葉にすればよいか分からず時間を浪費してしまう可能性がある。
記述式対策として意識したいこと
記述式の答案は、自己採点だけでは自分の書き方が採点基準に合っているかを判断しづらいという難しさがある。過去問を解いたあとに模範解答の構成や表現を確認し、自分の答案とどこが違うのかを見比べる作業を繰り返すことが、記述形式に慣れるうえで有効な進め方の一つになると考えられる。計算問題についても、答えだけを合わせる練習ではなく、途中式を省略せずに書く練習を重ねておくと、本番でも同じ書き方が自然にできるようになりやすい。電力・管理科目と機械・制御科目とでは、求められる対策の性質が異なる点にも注意したい。電力・管理科目は電力系統の運用や設備管理に関する知識を論述でまとめる力が問われるため、キーワードを丸暗記するのではなく、仕組みを自分の言葉で説明できるレベルまで理解を深める学習が有効だと考えられる。一方の機械・制御科目は計算問題の比重が大きく、限られた時間のなかで複数の計算過程を正確にこなす処理速度が合否を左右しやすいとされ、過去問を繰り返し解いて計算のスピードと正確さを両立させる練習が欠かせない。
電験三種取得後のキャリアパスとしての電験二種
電験二種の受験資格に実務経験は求められておらず、電験三種と同様に誰でも出願できる試験である。それでも、電験三種取得後すぐに電験二種に挑戦するのではなく、実務で高圧・特別高圧設備に触れる経験を積んでから臨む人も多いとされる。現場で変電設備や受電設備の実物に触れた経験が、電力・管理科目や機械・制御科目の内容をイメージしやすくする土台になり得るためだ。たとえば電力・管理科目で扱う需要設備の保守や事故対応に関する論述は、実際に設備の点検や年次点検に立ち会った経験があると、文章としてイメージしやすくなる面があると考えられる。逆に、実務経験がまったくない状態で二次試験の論述に取り組む場合は、参考書や過去問の解説を通じて、現場の状況を具体的にイメージしながら学習を進める工夫が必要になりやすい。
電験三種を取得して電気主任技術者として選任されると、電圧5万ボルト未満の設備の保安を担当できるようになるが、電験二種を取得すると電圧17万ボルト未満の設備まで選任の範囲が広がる。工場やビルの受変電設備だけでなく、より大規模な事業所や施設の電気設備を担当したいと考える人にとって、電験二種はキャリアの選択肢を広げる資格になると言える。扱える設備の規模が広がることは、担当できる案件の幅や、転職市場での選択肢の広がりにもつながりやすいと考えられる。
電験三種の難易度そのものについては電験三種の難易度はどれくらい?で詳しく解説しているので、電験三種の段階を振り返りたい人はあわせて確認してほしい。
電験二種取得後に広がる業務の幅
電験二種を取得したからといって、すぐに大規模施設の主任技術者に選任されるとは限らず、実務経験を積みながら段階的に担当範囲を広げていく人も多いとされる。それでも、扱える電気工作物の上限が広がることで、電気主任技術者としてのキャリアの選択肢そのものが増える点は、電験二種を目指す動機の一つになり得る。電験三種の段階で実務経験を積み、より規模の大きい設備の保安管理を目指したいと考えるようになったタイミングで電験二種に挑戦する、という流れは自然なキャリアパスの一つと言えるだろう。また、電験二種を保有していること自体が、転職や社内でのキャリア形成において評価される場面もあると考えられる。高圧・特別高圧設備を扱う現場では有資格者が限られることも多く、電験二種を取得していることが、より責任のある業務を任されるきっかけになるケースもあるだろう。
まとめ|電験二種 難易度を踏まえた学習計画の立て方
電験二種の難易度は、電験三種と同じ科目名の一次試験だけを見ていると実態を見誤りやすい。一次試験自体も電験三種より計算問題が複雑になる傾向があるが、最大の壁は記述式の二次試験にあり、電力・管理科目の論述力と機械・制御科目の計算処理速度の両方が求められる点が、電験三種との大きな違いになる。一次試験合格後は一定期間一次試験が免除される制度もあるため、こうした仕組みを理解したうえで複数年の学習計画を立てることが、遠回りを防ぐ近道になると考えられる。電験二種の難易度を正しく理解しないまま挑戦すると、一次試験は電験三種の延長で何とかなっても、記述式の二次試験で想定以上に苦戦するケースは十分に考えられる。
電験三種取得後のキャリアパスとして電験二種を捉えるなら、実務で高圧・特別高圧設備に触れる経験を積みながら学習を進める人も多い。扱える事業用電気工作物の範囲が電圧17万ボルト未満まで広がることは、電気主任技術者としてのキャリアの幅を広げる意味を持つ。電験二種の難易度の実態を正しく把握したうえで、一次試験と二次試験それぞれに必要な対策を分けて考えることが、合格への現実的な道筋になるはずだ。
参照ソース
- 一般財団法人電気技術者試験センター — 電験二種(第二種電気主任技術者試験)および電験三種の試験結果・受験案内の公式情報源
- 経済産業省 — 電気事業法に基づく電気主任技術者制度を所管する行政機関の公式サイト


